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Bonnieの小部屋

BLオリジナル小説サイトです。芸能界ものをシリーズで連載しています。

Old flame 6-3

6:An old flame may be rekindled.

「何してんねん」

実は怒りを隠さずに勢い良く冴島の腕を払うと、大河の腕を引く。
しかし冴島は、振り払われたところで特に動じず、冷静に大河を見上げた。
そして引っ張られた勢いで立ち上がった大河は、俯いたままだ。

「お前、コイツと何してんの?」

大河の腕を掴んだまま、きつく言い放つ。
自分が介入してきた時点でこの関係がどう思われるかなど分かっていたが、実にはどうでもよかった。どうせ、コイツは気付いているはずだと。

「俺、言うたよな?お前は流されるって。そしたらお前、絶対にないって言うたよな?」
「………」
「それがこの結果か?昨日の話、何も分かってないやんか」

またもや、一方的に責めてしまっている自覚はあった。
それでも、今見た光景に動揺した自分には、止められなくて。昨日あれだけ揉めた後なのに、冴島と2人きりで会う大河にも苛立ちが募っていて。

「あ、違います、これは…」

実がこの光景を何か勘違いしていると判断した冴島が、慌てて立ち上がったが。

「お前は黙っとけ」

言葉だけでもじゅうぶんな威力で制され、黙り込んだ。

「昨日の今日やぞ、大河」

大河から目を離さず、爆発しそうな怒りをこらえた低い声で、実は苛立ちをぶつける。
大河は俯いたまま、一切弁解する様子を見せない。

「どうしてそう安易なんや」

突き刺さる実の言葉を、表情を変えずに聞くだけだ。
しかし、

「ホンマにお前は…」

その言葉と共に吐き出された溜め息に、大河がビクンと反応を示して。
そこで初めて実も、自分たちが昨日、どんな風に話を終えていたかを思い出し、

「や、でもな、大河。俺は…」

ちゃんと話したい。そう言葉を繋ごうと、とにかくその腕を引いて帰ろうとした瞬間。

「ごめん」

大河が、掴まれていない方の手で、実の手を優しく払って呟いた。

「大河?」
「??」

冴島も、心配そうに顔を覗き込む。
すると大河が、やっと顔を上げて冴島を見た。

「ごめんミキ、俺らもう帰らんと」

やっぱりその顔は、笑っているのに笑っていなくて。

「え…?あ、う、うん。えっと…大丈夫?」
「何が?大丈夫やで?ゴメンな、心配かけて」
「………」
「明日も頼むで」

グリグリと冴島の頭を撫でた大河が、今度は実にチラリと視線を寄越すと、

「帰ろう、実」

みんな待ってるよ。と、さっさと去っていった。

実と冴島は、しばらくその背中を眺めていた。
やがて大河は居なくなり、嫌な沈黙が流れる。

「何してんすか?」

溜め息まじりに、冴島が、長身の自分よりさらに目線が少し上にある実に顔を向けた。

「どうしてこうなっちゃったんですか?俺が大河さんに迫ってるとでも?」
「……何が」

いちいち的確な冴島に苛立って、実はあからさまに眉を顰める。

「大河さん、あんな風に笑う人やないし、絶対おかしいと思って。実さんの名前に自棄に反応するし、何かあったのは確実やから聞きだそうとしたのに…」
「お前に言うわけないやろ」
「でもちょっとぐらい、流されてくれるかなって……。まあ、無理でしたけど」
「え?」

実の"流された"という単語を上手に使って表現した冴島がそう紡いだ言葉に、実は一瞬顔色を変えた。

「大河さん、頑なに言ってくれなくて。言った方が絶対楽になるし、別に俺、それを実さんに文句つけたりしませんよ?そんなみっともないことしない。
それなのに、大河さんは実さん庇ってばっかりで……」
「庇う?」
「実さんは悪くない。悪いのは自分なんやって。実さんは自分に振り回されたんやって……最後は、俺を怒ってまで庇うんやもん。たまんないすよ」

やれやれと、冴島は大河が飲み残したカフェオレを一気に飲み干すと、

「そういうの、ちゃんと分かった上で、今こういうことしたんですよね?当然」

普段の癒し系とは真逆の、厳しい視線を実に向けた。
実に一切怯むことのない気の強い眼差しが、逆に実を怯ませる。

「大河さんが全部悪くて、実さんはめっちゃ怒ってて。それでこうやって責めたんですよね?実さんは、大河さんに何も言ってへんし、振り回されただけなんですよね?
じゃなかったら俺、許しませんよ?」

自分もそろそろ戻る準備をしないといけないと、冴島は空き缶2本をゴミ箱に放り込んだ。
そして、立ち尽くしたまま見つめてくる実を振り返って、

「俺ね、大河さんが幸せならいいんですよ。邪魔するつもりなんて全くない。俺を仲間やって、めっちゃ大事やって、あの人そう言ってくれたから、俺もそうでありたい。それは嘘じゃありません。
もちろんまだ好きですけど、そういう風に付き合うことってできるんです。誠意と信頼さえあれば、それでもええかなって思える。俺やって、新しい相手見つけようとも思える。
でも……」

極限まで近づいて……

「幸せやないなら、俺でもいいですよね?」

その言葉に、実が目を丸くしたことを確認して、

「大河さんの隙、俺、見つけるのも入るのも上手いんですよ」
「…………」
「そして今は、隙だらけです」

そして、去っていった。
実はまだ、立ち尽くしていた。

ただひとつ分かったのは。
冴島は、周りが思っているよりも大河を想い、大河の幸せを願い、
そして、だからこそ、実にとってじつは誰よりも手ごわい人間だということだ―――



真っ直ぐ控え室へ戻った冴島は、通路を歩く大河の後姿を見て立ち止まった。
恐らく、ホテルから来ている送迎バスへ向かうのだろう、彼は一人で足早に歩いている。

「アカンよ大河さん」

小さくなっていく姿に、呟く。

「ちゃんと、幸せでいてくれへんと…」

ちゃんと、愛されてくれないと…

「俺、奪いにいくからね」

そしたら今度こそ―――…

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