FC2ブログ

更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2021 02123456789101112131415161718192021222324252627282930312021 04

【  2021年03月  】 

PERFECT BLUE 23-06

3幕-23:愛のある場所

2021.03.03 (Wed)

[3]翌朝。皆藤が目を覚ますと、時計は9時を示していた。朝方まで眠れずにいたのだが、いつの間にかうとうととしてしまったらしい。少しでも眠れたことと夕飯はカップラーメンで済ませてしまったこともあり、少しだけお腹が空いた。どんな時にでも腹は減るのだと感じて、思わずフッと笑ってしまう。こんなときに、自分が生きていることを実感するなんて……。ベッドを降りた皆藤は昨日洗った服を着てから、カーテンを開けて窓の外を...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-07

3幕-23:愛のある場所

2021.03.04 (Thu)

「俺はね、お前と違って、別の街に好きなヤツが居たわけでもないし、どこにも居場所なんてなかったから、何の躊躇いもなく自分の生まれた街を捨ててここに来たんだ。そして俺にとっては、ここが何よりの居場所」一昨日、"好きなヤツを置いてきたのか?"と訊いたことに対し無言になってしまった皆藤の表情で図星だと思ったのか、皆藤には好きな相手がいるという前提で、ケイは話し出す。皆藤も、特に否定せずに彼の話を黙って聞いて...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-08

3幕-23:愛のある場所

2021.03.05 (Fri)

瞬間、町田の顔が浮かんだ。『智司、愛してる』初めて告げてくれたあの言葉とともに。皆藤は、やっと気付いた。ケイの言葉で、やっと気付いたのだ。ケイの言っていることが正しいかどうかなど分からないが、それを愛だと仮定したとき、ケイの言い分を当てはめたとき、思い当たるのは町田以外いないことに。そして自分が町田を愛しているのだと仮定したとき、あれほど混乱していた頭の中がきちんと整理がついて。混乱の理由が、よう...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-09

3幕-23:愛のある場所

2021.03.06 (Sat)

コウイチは、町田のことを知っているようだった。そして、町田が皆藤を拾ったことも。皆藤には目の前の男に思い当たる節はなかったが、「俺昔さ、ブリストでアイツとつるんでたんだけど、覚えてねぇか?」その言葉で、ようやく思い出した。そうだ、この男……少し顔つきが変わったから思い出せなかったが、町田のグループに居た人間だ。そう、"コウイチ"。町田の口から、何度か聞いたことがあった。皆藤が自分を思い出してくれたよう...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-10

3幕-23:愛のある場所

2021.03.07 (Sun)

建物の柱や壁に手をつきながらもなんとか歩き続けた皆藤が行き着いたのは、路地裏。そこは、誰も目につかないような、ブリリアント・ストリートの通りからは死角になっている場所。皆藤は1人、そこに倒れこむように座った。5年半前、ここで町田と出逢った。あの日町田は、瀕死の重傷を負っている自分を助けてくれて、必死で声をかけてくれた。あの時の皆藤には殆ど意識など無かったが、呼びかけてくれた彼の声だけは、よく覚えて...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-11

3幕-23:愛のある場所

2021.03.10 (Wed)

[4]「なぁなぁ、ブリストのニュース観た?」2年F組の教室。数名の生徒が、そんな話題で盛り上がっている。一週間の試験休み期間がが終わった今日、教室には、生徒がすでに揃っている。ただ1人、皆藤を除いて。「ああ、観た観た。あれは衝撃映像だよな。火の海ってああいうこというんだな」秋本が、話し掛けてきた武藤に頷きながら、興奮気味にそう答えている。「雑居ビルが火元らしいね。なんか、朝方まで消えなかったとか言っ...

PageTop▲

PERFECT BLUE 23-12

3幕-23:愛のある場所

2021.03.11 (Thu)

「あの……警察が、僕に何でしょうか?」予告もなく現れた警察に、諏訪は首を眉をひそめる。すると警察は、言い難そうに口を開いた。「先生のクラスに、皆藤智司君という生徒さん、いらっしゃいますよね?」突然飛び出した、その名前。諏訪の心臓が、ドクンと大きく脈を打った。警察が教室に来て、皆藤の名前を口にする……それは、自分はその場にはいなかったものの、2年半ほど前にもこの学校で繰り広げられた光景。彼がまた何か厄介...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-01

4幕-24:知らせ

2021.03.22 (Mon)

暖かな陽射しが、その部屋にも平等に照りつけている。鳥たちのさえずりが、朝の訪れを告げていた。穏やかな空気の中、町田は目を開いた。時計は、6時30分を指している。目覚ましが鳴る30分前。ゆっくりと体を起こすと、そのままベッドをすり抜け、窓を開けた。5月の晴天。澄み渡る青空。これから訪れる夏に向けて、太陽が元気に輝いている。しかし、町田にはその全てが無意味。心を晴れやかにするはずのこの初夏の陽気は、彼にと...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-02

4幕-24:知らせ

2021.03.22 (Mon)

最終幕『未来への再生』【24:知らせ】[1]都内某所。東上大学附属病院 心療内科病棟。「そういえば、榊」ドクタールームでカルテチェックをしていた榊は、隣の席で同じように担当患者のカルテを眺めていた川口に声をかけられた。「はい?」デスクから目を離し、川口に顔を向ける。「あのな?」川口は、厳しい表情で榊を見た。「この間の話だけど……」「………」その言葉だけで榊には内容が分かり、体ごと川口に向けた。川口も、コーヒ...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-03

4幕-24:知らせ

2021.03.23 (Tue)

「失礼します」小さくノックをして、そう断りを入れながら中に入った。中には、デスクで仕事をしている町田が居る。そして、長いすには串崎が腰掛けていた。「おお、諏訪…。どうした?」顔を上げて小さく笑みを見せた町田は、また痩せたようだった。華奢で細い割に健康そうな血色や身の振る舞いが彼の魅力だったが、今はげっそりとやつれているようにも見え、睡眠も食事もろくに摂れていないのか顔色が悪く覇気がない。彼の魅力の...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-04

4幕-24:知らせ

2021.03.24 (Wed)

「遺体を預かっていたのは、ブリリアント・ストリートのすぐ近くにある警察署のひとつです。ブリストで起きた事件ですから、もちろんそうですよね?その警察の方が、言ってたんです。町田さんのこと、"ずい分ご立派になられて"って……」『あの人、よく覚えてますよ。町田祥君。ずい分僕も、彼には手こずらされました』弱ったように頭を掻いていた、50代半ばぐらいの警察を思い出す。あの日、諏訪の話を聞いてくれたその男性はそう言...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-05

4幕-24:知らせ

2021.03.25 (Thu)

「なあ、どこ行くんだよ」無言で車を走らせる町田に、助手席の串崎が不思議そうに首を傾げた。放課後、3人で一緒に校舎を出て、町田の車に乗せられた。串崎も諏訪も車で出勤しているが、2人の車は学校に置きっぱなしで来ている。「俺ん家」ボソリと、町田が呟いた。しかし、それに対して串崎も諏訪も不審感が出る。『お前、どの辺に住んでるの?』まだ出逢ったばかりのころ、串崎は何気ない世間話の中で町田にそんなことを訊いた...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-06

4幕-24:知らせ

2021.03.27 (Sat)

[2]ダイニングテーブルに2人を並んで座らせた町田は、自分は向かい側に座り、そこで全てを話した。皆藤との出会いも、出会ってすぐにブリリアント・ストリートのすぐ近くにある街のアパートで同居を始めたことも、栄養状態の悪かった彼の命と健康のために自分が更生して働く決意をしたことも、その後のある出逢いによって皆藤も更生を決め、このマンションに引っ越してきたことも―――洗いざらい、全て告白した。、「そんな……」諏...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-07

4幕-24:知らせ

2021.03.28 (Sun)

18時半を過ぎようやく暗くなってきた道を、2人はのんびりと歩く。「なぁ、宇賀」歩きながら、ふと串崎は口を開いた。「ん?」道路の石をチョンと蹴りながら、宇賀が返事をする。「お前、皆藤が好きか?」せっかく別の話題をしていたのにとも思ったが、串崎は敢えてその話題を真っ直ぐに振った。すると串崎の言葉に、宇賀が一瞬ビクンとして立ち止まった。皆藤の名前だけでこうして急に表情が変わる彼のことは、串崎からすれば出来...

PageTop▲

PERFECT BLUE 24-08

4幕-24:知らせ

2021.03.29 (Mon)

黙ったまま何も答えず身じろぎもしない諏訪を、町田は彼のショックと捉えつつ、それでも自分にはすべてを告白する義務があるのだろうと言葉を続ける。「智司は、俺の気持ちを知ってた。だから、俺を裏切りたくなかったんだ。アイツは義理堅い奴だから。諏訪のところにいけば、俺を裏切ることになると思って……それで、アイツは孤独を選んだんだ」「………」「俺のせいで……」過ぎたことなど考える人間ではない町田だが、今回の事態につ...

PageTop▲

前月     2021年03月       翌月

Menu

プロフィール

BONNIE

Author:BONNIE
FC2ブログへようこそ!

最新記事

カテゴリ

検索フォーム

QRコード

QR