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「シンクロニシティ(直×大)」
3:通り雨

3-2

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しかし。
笑顔でそう伝えた直希に対し、
何故か、大河はキョトンと首を傾げてしまっている。

「どうかした?」

意外な反応に直希も首を傾げると、

「いや、あの…」
「ん?」
「怒られるかと…」
「は?」
「直希に、休めって、言われてたから…」

俯きながらボソボソと、大河が言った言葉で、

「え?ああ、」

そういうことかと、直希も理解した。

「確かにそうだね、忘れてた」

大河の体が心配で、そういえば昨夜そんな話をしたと、思い出す。
想定外のサプライズに感動しすぎて、忘れていた。
でも、

「単純に遊び回ってたのとはワケが違うでしょ。それなのに一方的に怒ったりしないよ」

しっかり休めとは言ったが、それはつまり、無駄に疲れるなという意味だ。
いま大河がしてくれていることは、無駄なんがじゃない。少なくとも直希にとっては。
だからそんな懸念は不要だと笑ってやれば、大河も少しホッとしたように笑った。

「大河、あのさ」
「ん?」
「今日は、何時まで居られる?」

このままここで解散は嫌だし、かといってホテルに連れ帰っている間にタイムリミットになってしまっては話もできない。
どうすることが最善かと考えながら直希が問うと、

「あ、そうやさっき調べてたんや。えっと、何時までやったかな…」

大河は手にしていたスマホをまた表示させ、途中になっていた検索を再開する。
ポチポチと操作を始める大河の横に移動して、直希もその画面を眺めた。

「東京方面は、21時34分……かな」

そう呟いた大河は、画面上部に移る現在時刻に目を遣った。
すでに、18時半を回っている。

「あと3時間ぐらい、か」

だからそう答えると、直希は大河からスマホを奪って少し操作してから、

「朝一じゃ、間に合わない?」

6時5分発の東京行きを指差す。

「これに乗れれば8時過ぎぐらいには、東京駅に着くんだけど」

要は、泊まれということで。

「俺の部屋ツインだし、人数追加を申請すれば大丈夫だよ」

天野に伝えて手続きをしておいてもらえば問題ないと、直希は躊躇いもなく言ったが。
それはまずい気がして、大河は口ごもった。
手続き自体はそれで問題ないだろう。しかし、それでは天野に説明がつかない。
だいたい、人数が変更すれば、領収書を申請した時点で事務所にバレる。一体誰が泊まったのだと追求される。天野にまで迷惑かけてしまう。
やっぱり最終で帰るべきだが、直希に何て言えば……

「無理?」

またもや考えをめぐらせる大河を、直希が覗き込んだ。

「明日は、仕事何時から?」

そう訊かれて、

「午後から…」

正直な大河は、そう答えてしまった。
そうすれば直希は当然、

「じゃあ大丈夫だよな?それとも午前中に予定ある?」

そう訊ねてくる。
ここで"ある"と答えればいいのに。
直希の、この刺すような視線に、大河は弱い。

「明日になってみないと…分からん」

だから思わず、苦し紛れにそんなことを言ってしまって。
その口調で、直希は大河の迷いに気付いた。

「また何か余計な心配してるでしょ」

ふふっと笑って、大河の肩にポンと手を置く。ここではその触れ合いが限度だ。

「大丈夫だよ。人数追加は俺たちと天野さんの内緒にしとけばいい」

事務所には通常通りの金額しか申請させない、と。

「追加分の金額は俺が自腹きるから」

普通のビジネスホテルの1人分なんて、タカが知れている。
直希がそう断言すれば、

「いやいや、お前が払う必要は無いから。それは俺が…!」

律儀な大河は、慌ててそう否定してきて。

「じゃ、泊まることは決まりね」

ニヤリと笑った直希は、大河の腕を引いて歩き出した。
引っ掛かったな、と。

「な、直希…」

直希に引きずられるように歩きながらも、まだ大河は躊躇して立ち止まろうとする。

「直希、待って、天野さんには何て…」
「遊びに来てくれた、って言うよ」
「遊びにって…そんな距離ちゃうやんか」
「大河が気まぐれで大胆なことするのは天野さんも知ってるし、問題無いって。新幹線で2時間は、大河の気まぐれ行動の範疇でしょ」

こじつけ感はかなりあるが、直希の言い分は確かに的外れでもなく。
だから大河も、まだ戸惑いはしつつも、今度は特に抗いはせずについていった。

「あ、大河」
「ん?」
「雷、遠くに行ったよ」
「え?あ…ホンマや」

雨は、いつの間にか止んでいた。


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