「シンクロニシティ(直×大)」
4:シンクロ二シティ

4-2

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大河の部屋を当然のように通り過ぎた直希は、更に奥にある自分の部屋へと大河を連れ込んだ。
バッグはテーブルに置かせてやり、ジャケットをハンガーにかけてやると、大河を片方のベッドに座らせる。直希も隣に座った。

「大河、ひとつだけ訊いてもいい?」
「ん?」
「何で、昼間の時点で言わなかったの?」

さっきからずっと気になっていたことを、尋ねてみる。
たとえ自分に怒られるかもと思っていたとはいえ、もう来てしまったのだから言えば良かったのにと、直希は不思議で仕方ないのだ。

「言ってくれてれば、ホテルの手配も早くできたから、ホテルで待ち合わせできたのに」

そうすれば、タクシー内で雷を目の当たりにすることもなかっただろうと。
自分が近くに居るにもかかわらず、土地勘のない場所を宛てもなくフラつくなんて、直希にはやっぱり切なかった。
自分が電話していなかったら、そのまま帰っていたなんて。いや、電話していたって、雷が鳴っていなかったら大河がここに来ていることに気付かなかったのだ。
それら全てが自分たち特有のシンクロでもあるが、今回に関しては、最初から知っていたかったことだと思う。
何が大河をそんなに遠慮させてしまったのかと、直希は大河を覗き込む。
すると大河は、困ったように頭を掻きながら眉を下げ、

「いや、なんか、な?」

自分の無意識の行動を振り返りながら、話し出した。

「今朝、直希が、テレビに出てて……」

今朝の出来事を、ただその事実だけを。

「そしたら急に、お前に会いたくなって…」

あの時の行動の意味なんて大河自身でさえ分からないから、自分がとった行動と感じたことをストレートに。

「直希がどこ居るかも分からんのに、とりあえず駅行けば、何とかなるかなって」
「え……」
「でも、着いて、何て連絡したらエエか分からんくて。怒られるかもって思ったし。
だからやっぱり帰ろうって思うのに、帰れなくて。
そしたら直希から電話かかってきて、それで…」
「うん」
「話してたら、なんか、自分が恥ずかしくなったっていうか…」
「恥ずかしい?」
「直希はああやってちゃんと仕事しとるってのに、俺は自分の都合で勝手に会いに来るなんて、ガキと一緒やないかって」

あの時大河が感じた温度差は、時間が経てば経つほど、あまりに身勝手に思えたのだ。

「テレビ観て恋しくなるとか…それで実際に会いに行くとか…」

本当にバカ過ぎると、思わずため息を吐いた大河だったが。
直希は真逆の想いで、彼を見つめていた。

自分を恋しく思ってくれたなんて。
その想いが彼を新幹線に乗らせていたなんて……と。

「大河…」

それなのに自分は、自分ばかりが一方的だなんて考えて。
会いたいのは自分だけで、大河は全部割り切っていて、きっと寂しがってなんてくれていないとか。

―――バカは俺だ…

直希は、自分への怒りでいっぱいだった。
自分を想って来てくれた彼に、ただ"会いたい"と切実に思って来てくれた彼に、何て失礼なことを考えてしまったのかと。

「ゴメン!」

気が付けば、大きな声と共に、大河を強く抱きしめていた。

「へ??」

当然大河は意味が分からず、混乱しながらその体を受け止める。
息もできないぐらい、ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる長い腕。

「本当にごめん!俺、何も知らずに……」
「えっと…直希?何の話?」
「俺、会いたいのは自分ばっかりだなんて思ってた。寂しいのも会いたいのも声が聞きたくなるのも、俺だけなのかと」
「え…何で?」
「だって、俺の方が大河のこと好きだから」

結局はそこなのだと、直希は思っていた。
自分が彼に夢中で、もうずっと前から彼に全てを奪われてしまっていて。その心を捕まえた今だって、心配は尽きないから。

「だから、大河を戸惑わせちゃいけないと思って必死で我慢して…。でも本当は、5分でいいから会いに行っちゃおうかとか、毎日毎日考えてた。ホントだよ?」

行こうと思う度に、大河に呆れられるかもしれないという考えが出てきて、踏みとどまって。そんなことを毎日繰り返していた。
大河との温度差を、痛感するのが怖かった。

「でも、大河も恋しく思ってくれたんだね?こんな風に会いに来てくれるぐらいには」

信じられなくて自分に苛立って、でもそれをはるかに上回るくらい、嬉しい。
こんな想いすら彼と共有し、シンクロするようになったのだと思えば、直希は感動で胸がいっぱいだ。
しかも、

「そりゃ、俺やって思うよ」

自分の背中に腕を回してきた彼が、恥ずかしそうに顔を埋めながらも当たり前のようにそんな言葉を返してくれれば、怖いくらいの幸福を感じてしまう。
彼に片想いを続けた6年なんて、お釣りがくるぐらいに。

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