「極夜(直×大)」
5:決意

5-2

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大河は、ベッドの上で今度こそスマホを起動していた。夕方また寄ってくれた高瀬に事情を伝えると、彼の充電ケーブルをわざわざ車まで取りに行ってくれたのだ。
おかげでようやく画面が表示されたスマホには、高瀬が言った通り仲間たちからメッセージが入っている。そしてその全てが、必ず最後に"返信不要"と言った内容の言葉。既読になっていれば無事だと分かるから、それでいいと。
そして直希からも、

『本当に心配してる。返信はしなくていいよ。でも、返せるようになったら、一言でいいからくれるかな』

彼らしい、でも少し遠慮がちな言葉。
そして大河の性格上、"要らない"と言われて"はいそうですか"と甘えられない訳で。
とりあえず兄に、

『迷惑かけてごめん。高ちゃんにいろいろ調整してもらって、仕事も何とかなりそうです』

そんな内容を送る。
さらに仲間たちには、

『心配かけてホンマにごめん(>_<) 早く戻るようにするから!』

そんなメッセージを、全員に向けて送った。もちろん、直希は除外して。
そして直希にはどんな言葉を送るべきか少し考えてから、大河はメッセージを打ち始めた。





女性からの『わかりました(^^)』というメッセージを受信した直後、直希が、大河はメッセージを読んでくれただろうかとその画面を出そうとしたら。
絶妙なタイミングで、スマホが再び着信を告げた。

『いろいろゴメン。また会ったときに話そう』

大河からだ。
あまりにも簡潔で、しかしそこにたくさんの意味が詰まったような言葉。
現時点でどういう状態かも分からないが、きっと調子は回復してきているのであろうことは伺えて。

『日曜に、改めて連絡する』

明日は遅くなりそうなので、直希はそう返信した。
しかし、大河がそれを読んだ形跡はすぐに表示されたが、その言葉への返信は無く。

『俺も、いろいろわかったことあるから。話がしたい』

重ねて送ったメッセージも、やはり読まれただけだった。
彼は本当に、このまま自分と離れるつもりなのかもしれない。

『客観的に、考えてみた方がええ時期やと思うで』

陸の言うとおり、自分たちはこの先の付き合いについて考える時期なのだろう。
でも、

『ホンマにお前の相手はアイツなんか?』

考えるのは、そこではない。
そんなところは、考えるまでもない。
自分だって、5カ月の付き合いを節目に考えたことがあって。
だからこそ行動に出そうとしつつも、どこか尻ごみするところも正直あった。
でもそれは、自分だけが突っ走ってしまっていないかという、だとしたら彼を困らせてしまうのではないかという、それだけのことで。
大河から、距離を置くといういわば"王手"を取られてしまった以上、もうそんなものを読む余裕なんて無い。身を引こうだなんて考えを起こされては困る。寧ろ今こそが、そのタイミングかもしれない。

『時間はいくらだってある。よく考えろ』

まだ若いんだから、と陸は言ったが。

「そんな必要ない」

いくら考えたって、真実は1つしかないのだから、きっと同じだ。





「わかったこと、か…」

その言葉を大河は、自分が予想する先へと繋げて考えていた。

きっと自分たちは、このまま終わっていく。
それでよかったのだ、きっと―――。

ならば自分がすべきことは、何だろう。
ユニット内では、すでに自分たちの関係が、多くの人間に確信されてしまったという。
直希の大河への際どい言動はこれまでにもあったが断定的な何かがあったわけではなかったのに、今回は誤魔化しようがなくて。もちろんそれでも気付いていなさそうな、千田と拓郎という貴重な人間もいるようだが、少なくとも他の人間は分かってしまったようだと。幸樹ですら恐らく気付いただろうと、陸は言っていた。
そういえば幸樹からのメッセージは、何か意味深だったと思い出す。

『大丈夫?さすがの俺でも心配してるよ。
それと、火曜日に話した直希の件で、今度謝りたいことがあるんだよね』

最後にやっぱり"返信は要らないよ"と書かれていたそのメッセージの意味は、恐らく"余計なことを言って悪かった"ということだろう。大河が直希の相手と知っていれば、幸樹は絶対に言わなかったはずだから。
謝られる必要ないのだが、恐らく幸樹がそう思ってしまうほど、昨日の光景があからさまだったのだろうことが窺える。もちろん自分は意識が無かったから分からないが。
しかもそれをやらかしたのは、他でもない直希で。
でもそもそも自分が倒れなければそんな事態にもならなかったのだから、やはり自分に責任がある。兄に昨日は"何とかしてくれ"と縋ったものの、こんなところまで手を煩わせようとは、大河は本気では思っていない。

―――互いに相手ができたことにするのがエエんかな…

きっと訂正は不可能だろうから、しばらくは放置しておいて、少ししてからそう言えばいいかという結論に達した。
直希だけに相手ができたとなれば彼が非難されるだろうし、やっぱり自分にもそれなりの相手を作るしかないのだと。そんなこと自分にできるかどうかは怪しいが、女友達ならたくさん居る。本当に作らなくても、大河の小芝居に付き合ってくれるノリのいい子はたくさんいるのだ。
本来ならここで千田あたりに癒されたいところだが、下心がなくても、誘っただけで兄に殺されそうだし。
そう、兄が最近、やけに千田に気を惹かれているのを知っているから……

―――あれ、そういえば俺、チダちゃんと前から仲エエこと兄貴に言ってへんかも

呑気にそんなことを思わず考えながら、そういえば千田も幸樹の紹介だったと思い出して。
大河に千田を紹介したのも幸樹なら、直希に女を紹介したのも幸樹だ。

「幸樹ぃぃ~~」

お前絶対シめるで。と、完全な言いがかりともいえる怒りを、大河は愛すべき仲間にぶつけた。


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