FC2ブログ

「極夜(直×大)」
7:誓い

7-1

 ←『極夜』第6章アップ完了 →7-2
【7:誓い】

「愛してるんだ、大河」

はっきりと伝えた直希の力強い瞳に反し、大河は呆然としていた。
直希は、彼に掛けてやっているコートのポケットを探り、それを手に取ると、

「これが、女の人の理由」

大河の手に載せた。
それは、小さな箱で。

「幸樹の友達、アクセサリーショップ経営してるらしいんだけどさ。
彼女がいまイチオシしてる商品っていうのが、ちょうど俺も最近気になってたやつでね。少量生産だから予約待ちらしいんだけど」

『幸樹君の友達なら、特別に最優先で用意しますよ』

いつでも彼に声かけてね、と、彼女はそう言ってくれたと言う。
だから直希は幸樹に、彼女と連絡を取りたいと、紹介してくれと言ったのだが、それが幸樹には違った風に捉えられたのだろう。

「大河には、誕生日まで内緒にしておきたかったし、だから幸樹にも口止めしたんだけど、遅かったんだね。
火曜日は幸樹も一緒だったんだから勘違いって分かったはずなんだけど、口止めした後だったから、律儀にそこは黙ってたみたいだね」

もちろん、何を直希が彼女に依頼したのかを知られたら、例え相手が誰だか幸樹には分からなくても大河には勘付かれてしまっただろうが。でも、勘違いされたままこんな風になってしまうのなら、よっぽどマシだ。もしくは大河が自分を問い詰めてくれて、目論見がバレたとしても然りだ。こんなことになるならバレた方が良かった。
しかしそんなことはもう、過ぎたことだから仕方ないと、直希は分かっている。
誠意を込めて、疑惑を正し、この想いを告げることが大事だ。

「彼女に頼んだのは……」

手元の箱の蓋を開ける。
そこから現れたのは、シンプルなデザインのシルバーリング。

「これ」

直希は、そこに埋め込まれた小さな石を指差しながら、リングを大河の目の前に掲げた。

「……え?」

ブルーがかった石が一体何なのだろうと、大河が首を傾げる。指輪を贈られる時点でもちろんそれなりに貴重なプレゼントの自覚はあるが、それ以上に何かありそうだ。

「これは、恋人同士の絆を強めてくれる守護石」

ジッと見つめる大河にそう答えながら、直希はポケットからもうひとつ小さな袋を出した。
そこから出てきたのは、同じ石がついた、少し大きめのリング。

「この石の前で想いを確かめ合って、ペアで持っていれば、その2人はずっと一緒にいられる。って……」

並べて掲げられればそれは、ペアリングだとはっきりと分かるもの。

「最近けっこう話題らしくて、友達が彼女に渡したって聞いて、俺も興味あったんだ。
どうしても次の日曜か月曜の朝までに欲しいって相談したら、デザイン一覧から選んだものなら間に合わせられるって言ってくれて。水曜日も、その店で彼女と会ってたんだ。ゴメン、変に隠して」

店に向かう前、大河から"距離を置きたい"と言われて、本当は指輪どころじゃなかったけれど。

「もしかしたら、この指輪が、また俺たちを繋げてくれるんじゃないかって…」

この石が、自分たちを守ってくれるんじゃないかと。

「もちろんこんなものに頼ろうってわけじゃないけど、縋れるものは全部縋りたくなった。できるものは全部したくなった。
それに、俺自身、揺れてしまうことがあるかもしれない。そんなときすべてを放棄して、大河を哀しませないために。大河の気持ちと俺の気持ち、それから、約束した大切なものをすべて。ちゃんと正確に思い出せるものが欲しかったんだ」

自分は強気で強情だが、本当は強くなんかない。大河を好きになればなるほど、彼が傍にいないと不安になる。
だから、たとえ仕事で離れてしまってすぐに会える距離にいなくても、彼が自分と繋がってることを、証明できるものが欲しい。大河のこと守る強さを身に付けられるものが欲しかった。

別れるなんて、絶対にできない。
だって…

「俺の考える未来には、いつも大河が居るんだ」

彼無しの自分なんて、彼無しの未来なんて、考えられない。そんなものは要らない。

「簡単に別れてなんてやらない。俺は大河みたいに引き際の良い人間じゃないんだ。
もうさ、観念してよ」

自分を好きだと、自分を全身で受け入れてくれたあの夜、運命の糸を、直希は大河に結びつけたのだから。

「俺には大河だけだから。だからこそ、もっと自分を大事にして欲しい。
俺たちはただの仲間じゃないんだから、気にしないで、辛い時は頼って欲しい。俺の知らない所で苦しまれるのが、俺は一番辛い」

この人の為なら何だって出来る。
そんな自分が、たまらなく好きで、幸せで。
それはきっと、そんな自分の想いを、この人がしっかりと受け止めてくれるからだ。
そしていつでも自分の近くで、光となり盾となってくれるから。

「俺の幸せは、大河そのものだよ」

愛も幸せも、この人の形にしか存在しない。

「だから、受け取ってくれるかな」

かざしたリングに、願いを込める。
どうか、頷いてくれと―――

関連記事
スポンサーサイト
↓ランキングに参加しています。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL恋愛小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 短編作品
総もくじ 3kaku_s_L.png 未定(○×○)【準備中】
総もくじ 3kaku_s_L.png ★恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ 3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編作品
総もくじ  3kaku_s_L.png 未定(○×○)【準備中】
総もくじ  3kaku_s_L.png ★恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ  3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【『極夜』第6章アップ完了】へ
  • 【7-2】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【『極夜』第6章アップ完了】へ
  • 【7-2】へ