「reward(直×大)」
3:聖なる夜の思い出

3-1

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【3:聖なる夜の思い出】

直希は大河のナカに、大河は直希の手に……
それぞれ欲を放った2人は、ソファで抱き合いながら荒い呼吸を繰り返していた。
互いに片足がソファから降りた状態で、直希の体を受け止めてやる大河だが。病み上がりで2度も放出したせいなのか予想外に激しかったせいなのか、若干意識が朦朧としていて、

「大丈夫?」

直希の声をどこか遠い所で聞きながら無意識に頷きつつも、彼の背中に回した腕は自然に離れていった。
それから優しく頭を撫でられて、ナカの圧迫感から解放されたのは何となく覚えているものの、その先はいまいちはっきり分からず―――


気がつけば大河は、落ちていた片足もソファに乗せられ、タオルケットをかけられ寝かされていた。

「なおき…?」

居るはずの存在がなくて、急に不安になり、思わず体を起こすと、

「あ、寝てな?」

タイミングよく現れた彼は、腰にタオルを巻いていて。

「もうすぐ風呂沸くから」

大河の体をまたソファに沈めて、自分も傍に腰を下ろしてくる。

「ベッドも今シーツ敷いてきたし、メシの前に少し横になる?」

気遣うように、また髪を撫でてくる彼が。ほんの少し前まで獣だった男と同一人物とは思えなくて、大河は思わず笑った。

「何だよ」

口を尖らせながらも直希は、大河に笑う余裕が出たことにホッとして、自分も笑顔になる。
そして大河がまた体を起こしてくるので手伝ってやると、起き上がった流れのままに、大河からキスがきて。

「ちょっと体がビックリしただけやから」

何も心配要らないと、優しく抱きしめられた。
素肌が触れ合い、ダイレクトに体温と心音を感じて、まるで自分たちが溶け合っていくようだ。それがたまらなく幸せで、直希も大河を強く抱き返した。
そして、直希を受け止めたナカからそれが流れてきたことに、いつものように大河が体を固くして呻いたのを合図に、

「風呂、行こう」

直希は彼の肩を抱きながらゆっくりと立ち上がらせ、抱え込むようにして風呂場へと向かった。



浴槽に浸かって、背後の直希に後処理をしてもらったあたりで、やっと大河は意識が鮮明になった。
そうすれば当然、性格的に恥ずかしさがドッと押し寄せてはくるが。
後ろから強く抱きしめてくる直希の優しい手と首筋を伝うキスに、ただただ安心感が押し寄せて。気がつけば大河も、振り向いて自分から彼にキスを強請っていた。

「なんか今日の大河は素直だね」

まずは大河のおねだりにたっぷり応えた後、直希が頬をすり寄せながらフフッと笑う。
ソファでの行為に戸惑いつつも拒否はせず、直希の甘い説得と行為で説き伏せる必要も無く早い段階で流れに任せてくれたことが、直希には嬉しいけれど意外だったようだ。
そんな彼に大河はやっぱり恥ずかしくて、肯定することを一瞬だけ躊躇したが、

「…まあ俺も、いろいろ思うところがあったから」

素直になっていたことを認めるように、そう教えてやった。

「"思うところ"って?」
「ええねん。蒸し返すの嫌やねん」
「何それ。気になるじゃん、教えてよ」

口を尖らせながらさらに顔を覗き込ませてきた直希の口ぶりは、既に追求する気マンマンだということは明らか。他の言い方をすればよかったかと後悔してももう遅いことを、大河は悟った。

「だからほら、あれや」
「何」
「3年前、俺、いろいろお前に無神経なことしとったなぁって思って…」

彼の気持ちを知らなかったとはいえ、彼女の家に泊まりにいくだの、ケンカしてきただの、彼の片想いの話を聞きだしたりだの、随分と無神経だったとつくづく思う。
それでも直希は、自分に対して誠実だったと思うのだ。
自分の中だけで大河とイブを祝おうなんて健気なことをしていたり、彼女とケンカして落ち込んだ大河の話を聞いてくれたし。多少は邪な思いがあったとしても、クリスマス当日に必死で大河を引き止めた彼は、決して"傍に居てくれ"とは言わなかった。

「クリスマスの日、お前は"不謹慎なことを思った"って言うてたけど、俺はそうは思わない。チャンスやって思うことは当たり前やろ?俺だってきっと思う」
「………」
「もっと言ってしまえば、男なんてさ、そのまま突っ走ることだってじゅうぶんありうる。
自分が狙ってる奴がノコノコと家まで押しかけてきたら、恋人とケンカしたなんて、上手くいってないなんて打ち明けてきたら、普通は期待するよな?それでどうにかなってたって、お前を責める奴はきっと一人も居らんで。俺の方が悪いって、みんな口を揃えて言うと思う」

クリスマスなんていう特別な日に、プレゼント持ってわざわざ家まで訪れた相手に、期待して当然だ。そのまま襲われたって何も文句は言えなかった。
しかし直希は、あくまで誠実に向き合ってくれたのだ。

『大河がフリーで、俺に告白されたら、どうにかなる可能性ある?』

もしかしたらあれが、直希にとっての精一杯の告白だったのかもしれない。
冗談だとしか思わず笑い飛ばしてしまった自分を、彼も合わせて笑いながら、どんな思いで見つめていたのだろうと思うと胸が痛くて。

「俺はお前に甘えてばっかやったなって思ったら、なんか、今年はお前の好きなようにさせたくなってきて」
「……大河…」
「あの時のことはあの時のことで、もう取り返せんけど。なんていうか…それもまとめて?っていうんかな。俺にそこまでの価値があるようには思えないけど、そんな風に想ってもらう理由がいまだによう分からんけど、ていうか俺にお前ってやっぱりなんか勿体無い気がするんやけど……でも、お前にそうやって想われるの、少なくとも俺は嬉しいし」

ベッドメイクの余裕もなく玄関先で求めてくるようなヤンチャな恋人が、今日に限らずすぐに暴走するし何度も要求してくる"元気"な恋人が、決してそういった行為が好きなだけではないと分かっているから。

「お前に言われることもされることも、確かにこっ恥ずかしいことだらけやけど、その…」
「ん?」
「嫌…ではないのは、確実やから」

すべての言動に自分への好意を込めてくれるから、本気で拒んだことなんてない。

「あ、いや、だからってところ構わずはアカンで?でもほら、お前だってアホやないし、その辺はちゃんとわかってくれてるやろ?TPOは、お前なりに気ぃ遣ってくれてるって、俺は信じてるってことやで?」

慌ててそこだけはしっかり釘を刺せば、直希は「わかってるよ」と苦笑いをしながらまた首筋にキスを落として、

「ところ構わずって、どこまでOK?」
「へ?」
「公共の場じゃなければOKってこと?もしかして玄関でもOKだった?」

そんな、またもやヤンチャなことを言ってくるから、

「前言撤回じゃアホ!」

こっちは恥ずかしさをこらえて言ったのに!という思いで、大河は軽く暴れた。

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