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「reward(直×大)」
4:reward

4-1

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【4:reward】

それからは2人で黙々と食事を平らげ、洗った食器をエントランスに出すと、再び部屋に戻ってソファに並んでビールを飲みながら、やっと寛ぎモードに入った。
イブの夜にしては本当にいつも通り過ぎるが、2人にとってはそれでじゅうぶんだった。
テレビでもつけようかと大河がリモコンに手を伸ばすと、

「あ、ちょっと待って」

その手を直希が遮る。

「何?」
「ちょっと待ってて」

笑顔でそれだけ言って立ち上がり、部屋を出ていってしまった。

「ホーム・ア○ーン…」

そういえばケーブルで今日やっていたはずだと大河はポツリと呟きながら、しかし"待て"状態の犬のように素直にソファでおとなしく待つ。
すぐに戻ってきた直希は、手にしていた何かを軽く振ってみせてきた。
それは見るからに、プレゼントらしき箱で。

「はい」

隣に腰を下ろすと同時に、差し出してくる。
もちろんそれは、クリスマスプレゼントというやつだということぐらいは大河にも分かるのだが。

「もう、もらったで」

指輪を嵌めた右手をかざせば、

「それは誕生日プレゼントじゃん」

意味が全然だろうと直希が笑う。

「いやでも、俺なんてクリスマスと誕生日ほとんど変わらないし、一緒でええって」
「何で、それはまた別でしょ。人様の誕生日と一緒にできるわけないじゃん」
「人様…神様やろ」
「どっちでもいいよ。とりあえず、大河とそいつは別」
「そいつって…」

彼らしいもの言いに、大河は思わず笑った。
だからお前はヤンキーと言われるんだ、という言葉は呑み込んで、

「じゃあ、"そいつ"の誕生日祝いのおこぼれ、ありがたくもらおうかな」

大河も直希の発言にのっかって、素直にそれを受け取った。
誕生日とクリスマスのダブル攻撃で、しかも誕生日プレゼントにおいてはペアリング。さぞかし大変だっただろうと申し訳なく思いながら、ラッピングを外して箱を開ける。

「あ、これ…」

出てきたのは、大河が好んで使うブランドの香水だった。

「それさ、季節限定品らしいよ」

男性物にしては凝ったデザインのボトルは、確かに雪の結晶のような柄が施されている。
そういえばつい最近、ショップでもらったカタログに載っていたような気がすると、大河は思い出した。

『これ、すぐ売り切れちゃうと思うから、早めにご予約くださいね』

興味を示していた大河に、店員もそう言っていて。それに対して自分は、『ん~考えておきます』と答えて、予約はせずに帰ってしまっていたのだ。
好きなブランドのシリーズだし、普段ならそこで予約するはずが、しなかったなんて。
まるでどこかでこれを予感していたかのように感じて、またもや直希との"シンクロ"に、大河は彼との特別な絆を感じてしまった。

「ありがとう直希」

ボトルを眺めながら、軽く手首につけてみる。
普段自分がつけている爽やかな柑橘系の香りに対して少し甘めの香りのそれは、しかし決してくどいわけではなく。どこか柔らかな、優しい印象を与えてくれる。

「俺が持ってる中には無いタイプやな」
「うん、せっかくだから違うのがいいかなって。こういう香りもいいかと思ってさ」

すでに店に並んでいたらしきそれを直希はテスターで確認はしていたのだが、大河の手をとって顔を近づけて改めて確認しながら、

「やっぱいいよ、似合う」

にこりと微笑む。

「ええなぁ」
「気に入ってもらえた?」
「うん、ありがとう」

大河が改めてそう言って笑うと、直希は嬉しそうに肩を抱いて、そのまま軽くキスをしてきた。
明日忘れないようにとボトルを箱にしまいながら、大河も、自分も彼にプレゼントがあることを思い出し、

「あ、俺も、あるんやった」

立ち上がり、壁際のバッグへと向かう。

「送ってもらった帰りにでも渡そうかと思ってたんやけど…」

そう言いながら、バッグのポケットにしまっていた小さな箱を取り出す。他の荷物に紛れたり潰されたりしないように、そしてすぐに出せるように入れておいたそれを手に、またソファに戻った。

「はい」
「お、ありがとう」

照れ隠しなのかぶっきらぼうに大河が差し出してきたそれは、3年前のように大きいものではないが。しかし3年前よりも意味のあるものだろうということが、彼の横顔から不思議と滲み出ていて。
直希は何だか妙にドキドキしながら、ブラウンの綺麗なラッピングを剥がし、中から出てきた箱の蓋を開けた。

「…あ」

現れたのは、ピアスだった。
しかも、直希が欲しくて手を伸ばせずにいたもの。

「俺、これ欲しいって大河に言ったことあったっけ?」

そんな話をした記憶がないし、このピアスが売っているのは、直希が知る限りはひとつ。その店には大河を連れ立って行った記憶などなかった。
すると大河が、

「あ、これ欲しかったん?」

そんなに有名なのか?と、首を傾げてくるから。

「え、大河、これどこで…」

訊ねながら包装紙を眺めれば、やっぱりそこは、直希が知っているその店だった。

「この店、知ってたの?」
「いや、偶然立ち寄って…」
「え?」
「お前、こういうの好きそうやなって思ったっていうか…」
「………」
「似合いそうやし。なんか、店員さんにめっちゃ勧められたし」

大河の耳にピアスの痕があるのを目ざとく気付いた店員は、塞いだ事実を知らないせいか、大河がするものだと思ったようで。

『そのデザイナーさん、店舗にこだわる人だからどこにでもあるわけじゃなくて。超レアですよ』

都内でも2~3店舗でしか扱わないのだと教えてくれた。
置いてもすぐ売れてしまって、入荷するのにまた時間がかかるのだと、これも最近やっと再入荷したばかりだと言われれば、商売トークと知りつつも大河はつい選んでしまった。

「そのデザイナーさんの3~4種類あったけど、それがいちばん良さそうやったから」

どれでもレアだから間違いない、と言われて、自然と手が伸びたこのピアス。

「そうか、これ、お前欲しかったんか」

やっぱり自分たちは不思議なシンクロをしていて、ここまでくると本気で、直希が言った"運命"を感じてしまう。

「すごいなぁ、俺ら」

なかなかすごい運命を呑気に笑って済ます大河に反し、直希は、

「すごいどころじゃないって」

ギュッと、勢いよく抱きしめた。

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