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「白い恋人(直×大)」
後編:白い恋人

後編-1

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【後編:白い恋人】

「何で……嘘だろ?!」

直希は叫びながら、部屋を飛び出そうとした。
その時……

Prrrrr

ベッドのサイドテーブルに置いたままの直希のスマホが、着信音を鳴らして。
直希はベッドに戻り、スマホを手に取る。
画面を見て、一瞬固まった。

"安藤大河"

「………たいが?」

Prrrrr

「あっ」

鳴り続ける着信音に、直希はフリーズしていた意識を戻し、慌てて電話に出た。

「もしもし?大河!?」
『……あ、直希?』

直希が凄い剣幕で出たので少しビックリしたのか、大河の声が少し小さい。そして、ちょっと震えている感じがする。
でもそれは、驚きや怯えの震えではなくて……

「大河…今、どこに居るの?」
『え?えっと……まあそれはええとして』
「良くないだろ!大河、一体どこでこの電話……」


『記念日、おめでと』


「……へ?」

いきなり突拍子もないことを言われ、直希は言葉を失った。
何?どういうことだ?

『良かったよ、やっぱアラームかけといて。0時きっかりに"おめでとう"って言おうと思っとったから』
「………」
『俺、ロケの時とかって絶対早く寝てしまうやん?だから、5分前にアラームかけておいて、0時になったらおめでとうって言いたくて。せっかく相部屋やしホンマは顔見て言いたかったんやけど、直希とケンカしてしまったしさ』
「………」
『あれ?合うてるよな?今日で。半年記念日?やったっけ?』

お前が言うてたやろ?と、大河に言われ、ようやく直希も思い出した。
そうだ。今日は1月13日。2人の半年記念日。
記念日とかアニバーサリー的なことに無頓着な大河から出た、意外な言葉。
それはもちろん、直希が事あるごとに大河に言っていたから覚えていてくれたのかもしれないが。とはいえ、0時きっかりに、なんて……
サラリと聞き流されていたとばかり思っていた彼のこんなサプライズに、直希は絶句してしまっていた。

「………」
『散歩から帰って、直希とじっくり話さんとって思ってたんやけど、お前ぐっすり寝とってなぁ。起こしたら悪いと思って部屋出たんやけど、どこ行っていいかわからんくて』
「………」
『で、0時になるまでここで頭冷やして考えて、直希が怒ってる理由分かったらそれも謝ろうと思ってたんやけど……。俺、やっぱ寝てしまったわ。ゴメン』
「………」
『でも、そんな理由でおめでとうって言わないのは、後でぜったい後悔すると思って。で、とりあえず、今だけは休戦な?』

そう話す大河の声は、ガタガタ震えている。
直希はそれでようやく、ハッと我に返った。

「大河。今、どっから掛けてんの?」
『え?』
「どこに居るんだよ」
『えっと……、あ!!』

焦る直希などおかまいなしに、いきなり、大河が素っ頓狂な声を出した。

「大河?」
『直希。外!外見てみ!!』
「え?」
『外!』
「あ、おぉ…」

言われるがまま、直希は窓に近寄る。
空からは、真っ白な粉雪が降り始めていた。

『キレーやなぁ……』
「うん……ってそうじゃなくて!」
『え?』
「今、どこに居んの?!」
『ホテルの近くの……変な公園』
「は?!」

ちょっと待て。と直希は冬なのに冷や汗が出た。
変な公園って、公園に変とか普通とかあるのか?……と、ちょっと思ったのだが、そこに冷や汗をかいたわけではなく。夜中に彼は、公園に居るのか?と。一人きりで?こんな寒空の下、コートも着ないで?と……

「公園って…人居んのっ?」
『居らんけど。いや、暗くてよくわからんねん。街灯が1個しかなくてな』
「は?!」

またもや直希は、同じリアクションが出てしまった。
本当に大河は、信じられない奴だ。今は大の男だって襲われる時代に、街灯1個しかない公園に居るなんて。ホテルとコンビニしかないような田舎で、真冬の夜中に。ビビリのくせに、そういうところは無頓着というか、危機感を感じていない。
地元時代といい今といい、どんだけ公園が好きなんだと。(←そういうことじゃない)

「ちょっ……大河、そこ動くなよ?今すぐ行くから!!!」
『え……』
「あ、やっぱダメ!んな危険なトコ、1秒でも居ちゃダメだって!すぐ出て」
『直希?』
「俺も、ホテルの外まで迎えに行くから。だから、電話このまま切らないで」

そう言いながら、直希は大河のコートを手にして部屋を飛び出した。
あんな夢を見たせいか、一刻も早く大河に会いたくて。彼とずっと繋がっていたくて。
スマホを耳に当てたまま、ただひたすら走り続けていた。

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