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「痴話喧嘩(直×大)」
2:起爆剤と痴話喧嘩

痴話喧嘩 2-5

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幸樹の肩を抱いてグリグリと頭を撫でながら、直希は喧嘩をしたことなど一切気にもせずに陽気な笑顔で歩き出す。当然、周囲の注目は浴びるが、"ごめんね~"と手を振って断りながら堂々と歩いた。堂々すぎて、誰も寄り付かないほどに。
喧嘩とはいえ、これはすぐに仲直りできるレベルだと直希は分かっている。だいたい、こんなものは喧嘩とは言えない。恋人の可愛いやきもちなのだから。不安をぶつけられただけなのだから。フォローの方法なんてひとつ、ひたすら甘やかして弁解させてもらえばいいだけのこと。
この後ちゃちゃっと取材を受けてすぐに店に向かって、適当なところで大河を掻っ攫って、後は甘いバレンタインの夜へと一直線だ。

……と、思っていたのだが。

「そういえば、今日のメンバーって誰だっけ~?」

だいぶご機嫌なまま、直希はさっきのプレゼントをトランクのプレゼントの山(←やっぱりプレゼント攻撃に遭っていた)に追加して、運転席に乗り込んだ。

「ああ、今日?今日ね、そういえば3人追加」

助手席に乗り込んだ幸樹が、シートベルトを締めながら答える。

「いやだから、どのメンバーに誰が追加?」

改めて直希が問えば、

「元々のメンバーが、俺と大河と涼太さんとタクさんと、あと冴島で…」

指を折りながら答えてくれた幸樹から出た名前に、直希は思わず「ん?」と反応した。

「え、ミキも?」
「うん。まあ、出演者だしねぇ。誘うでしょ普通に」
「あ、そりゃそうか…」

そうか盲点だったと、直希は内心舌打ちをした。
実が誠と共に新幹線で直帰するというところに安心しすぎて気付いていなかった。あの男が居るのか、と。
幸樹や栗原とも親しい冴島は、当然参加するだろう。そもそも、

「まあ冴島は、大河が行くなら行くって感じだったけど」

そこが問題なのだ。
千田と並ぶほどのほんわかした癒し系の冴島は、かといって千田のように人畜無害かといえばそれはない。直希も彼とは互いに役者経験が少なかった時代からドラマで数回共演したこともあるせいか交流もそれなりにあり、本当に人が良くていい奴だとは思うが、ひとつだけ気に入らないことがあるのだ。
あの男、何かと大河の隙を狙っている。
もちろん、天然なので普段は隙を逃してばかりだが。
だが今日は、若干大河に隙を作った自覚があるせいか、直希はその名前に不穏な空気を感じてしまった。
そもそも、冴島という男、同じ奈良県出身なんていう共通点もある上に大河大好物の癒し系なんていうキャラもあってか、大河の方からも気に入られているからタチが悪い。
ミキかよ…と直希が頭を掻いていれば、

「あと追加メンバーが、ハルさんと栗原と大野さん」
「は?!」

その名前に、直希は今度は大きく反応してしまった。

「大野さんて、あの大野さん?」
「ん?他の大野さん知らないけど、OFAのね。大河と栗原、大野さんの車で行くみたいだし」
「何で大野さん?」
「いや、涼太さんが、ハルさんと大野さんも誘おうって言ったらしくて」
「……(余計なことを…(怒))」

直希は思わずうな垂れた。
プリンスなら何をしても思い通りなのかと、言いがかりとは分かりつつ心の中でそう悪態をつかずにいられない。

「大野さんて…大野さんて……」
「え、なに直希、緊張してんの?」
「バカちげーよ!」

お気楽な幸樹の頭をひとつ叩いて、時間的にまずいのでとりあえず直希はエンジンをかけて車を発進させる。

―――なんでこんなとき仕事入るかなぁ、俺…

恋人からはあんな可愛い言動をされて舞い上がっているというのに、そのおかげで若干揉めたからいろいろ早くフォローしたいのに。
よりにもよって自分は仕事で、狼2匹のいる場所に少しであれど獲物を放置だなんて、と。
そもそも、幸樹の話を聞く限り、その1匹はすでに合流しているのだ。まだ時間は早いにも拘らず。

―――あの状態の大河に大野さん放り込むって……

大野史孝なんて、実レベルの危険人物ではないかと。しかも実のように確信犯ではない&"そっち方面がヤンチャ"だから余計に危険だ。
30代半ばを超えたにもかかわらず、モテモテの色男。数年前に離婚してからは、その人気は拍車がかかっているとは有名な話。
そんな大野は、大河の兄・陸の大親友で。ひと回り近く歳の離れた大河のことも、本当の弟のように可愛がっている。それは純粋な、親心に近い兄心だろうことは直希だってもちろん分かっている。
だが、大河が隙を見せようものならば、意外にもチョロっと手を出しかねないところがあるのが大野なのだ。離婚の原因だって、自分の浮気性が原因だと本人も認めているほど。隙だの無防備さを見つけてしまった瞬間、ついつい相手が可愛くなってしまうのだと。……要は、大河のように打算なく天然で隙を見せる相手に弱いのだ。
もちろん大野もいい年齢だし、いつまでもヤンチャではないだろう。そもそも大河は、親友の弟なのだから。
でも、今夜の大河はいろいろヤバイし……

「なあ幸樹」
「ん?」
「2人だけ、監視頼んでもいい?」

用心に用心は重ねるべきである。


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