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「Beyond Silence(W大)」
4:Vi Protegga

Beyond Silence 4-7

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「だから、少しでええから、俺を頼って欲しいな」

年下だけど、頼りないかもしれないけど、寄りかかってきてほしいのだと、大河は囁いた。
そんなの、とっくの前から俺はコイツを頼っている。
俺が大河を抱きしめる理由は、大河を守りたいからだけじゃない。
大河が俺に安らぎもくれる。俺を安心させてくれる。
でも、大河が言った意味はそうじゃないって分かってるから、そういう答え方はしないでおいた。
大河が俺に頼って欲しいのは、男としても、ってことなんだろうから。

大丈夫。
今度こそきっと、俺たちは愛し合える。
だから、

「なあ、大河」

これからの為にも、俺も大事なことを伝えておきたい。

「俺は、お前との関係に、無理強いだけはしたくないよ。お前がこれ以上無理なのは、男として気持ちもわかる。だから、これ以上を求めたりしないよ」
「……え?」
「それは決してお前を欲してないわけでもないし、我慢してるわけでもない。俺はただ、お前が許してくれるギリギリのラインで十分なんだ。だから……」
「史孝さん」

遮ったのは、意外にも大河。

「俺は、今までの関係で、無理なんてひとつもしてへんよ。俺もしたいからしとるんや」
「大河、でも……」
「史孝さんと過ごす時間も空間も行為も、ぜんぶ大事やし、好きやで」
「……俺も、そうだよ」

大河とこんな関係になって、最後までできない関係が続いて、それでも俺は、意外にも納得していた。
互いに触れ合って、一緒に快感へと達するそれは、これまでのどんなセックスにも勝ると。
でも、

「だから、あんたのホンマの望み、教えて」

俺の本心を見透かすように、見つめられれば。
隠したわがままな本音は、またもやするりと顔を出して。

「大河……」

確認するかのようにその愛しい名前を呼び、キスをする。触れるだけのキスは、すぐに深いものに変わって―――

「ん…っ、」

大河の唇の端から漏れた声に、体温が急上昇したのを感じた俺は、

「お前を抱かせて…」

願うことすら禁じられていたのではないかと思っていたその言葉を、口にしていた。

「お前のこと、ぜんぶ欲しいよ」

体を撫で上げながら、まっすぐ見つめてそう告げれば、

「うん、ええよ」

俺の大好きな笑顔と共に、熱を帯びた瞳の大河がすんなりと頷いて。

「嬉しい……」

俺の首に腕を回して抱き着いたかと思うと、そんな言葉を吐いた。

「ホンマはずっと…俺もそう思ってた」
「え……?」
「俺がこれ以上の行為を拒んだのは、この先に進んだら俺はあんたと割り切った付き合いなんて絶対できなくなるって分かってたからや。"気軽な恋愛"なんて、絶対にできなくなるって。勝手に期待して、勝手に本気になって、勝手に引っ込みつかなくなってしまうって……」

照れ屋の大河とは思えないぐらいストレートな言葉は、俺の体に電流のような刺激を走らせ、胸を貫く。
ただただ、愛しいと思った。

「ごめんな?いくらでも期待して本気になって引っ込みつかなくなってくれていいんだからな?大河」
「ん…」
「俺だってさ、お前と同じなんだ。本当はいくらだって誘うチャンスはあったのに、実際にもし万が一お前が同意してくれたらって考えると、怖くて。一度でも抱いてしまったら、きっと俺はお前を離せなくなると分かってたから」
「……離さなくてええよ。離さんといてや」
「ああ、言われなくたってそうなるから安心しな」

たった1人の、何にも代えがたい宝物。
33年かかってようやく見つけた、自分自身よりも大切な存在。
もう誰にも、渡さない。

「ヤバいな、陸にぶん殴られるな、俺」
「アハハ。ならやめとく?」
「いや、半殺しまでなら覚悟できてるから大丈夫」

命さえ助けてくれれば、なんて冗談半分本気半分で言えば、大河が本当におかしそうに笑う。
そして少し腕を緩めて俺を見つめて、

「ま、兄貴にボコられて史孝さんが修復不可能な不細工面になっても、俺捨てたりせぇへんから安心しな」

冗談交じりに、こんなところで男前を発揮してきた。
そしてそれは、大河の本音が入っていること、その瞳を見れば分かるから、

「頼もしいな」

チュッとキスをしながら俺も笑って。
陸の問題が解決したならばと、止めていた手を再び動かした。


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