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「短編作品」
2度目の夏(直×大)

2度目の夏-3

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「直希~、お前今朝のインタビューで怒っとるんか?」

相変わらず不貞腐れ顔の直希を見上げて、大河は首を傾げた。

「何が?別に何も気にしてないけど」

大河に放ってかれたことで部屋を出ようとしたところで大河につかまり、彼に引きずられて部屋に逆戻りした直希は、畳に敷いてある布団の上に腰掛けながらそう言い捨てる。その行動全てが言葉と真逆だから、

―――ウソつけ。不機嫌丸出しやん…

大河が少し笑いながら直希の隣に腰掛ければ、直希が眉を寄せながら大河に顔を向けてきた。

「何笑ってんだよ」
「ん?いや、別に?」
「…ったく。何であそこで誠さんなわけ。すんげぇリアルっつーか…」
「やっぱり気にしてるやん」
「う……」

ヤバイ、という様に直希は口ごもる。
しかしおかげで今回の揉め事の原因をはっきり確信した大河は、呆れたように彼の頭を叩いた。

「ええか?あれは例えばの話や。誠さんは、俺が女やったら恋人にしたいってだけで、実際俺は男やろが」
「けどさぁ…」

と、まだ口を尖らせる直希だが……
直希だって、いつまでもこんなことを言い合いたいわけじゃない。それに、大河からこうして歩み寄ってくれているのだから、意地を張りたくない。張るほどの問題でもない。
だから、

「…ま、いいわ。大河が誠さん好きなのは知ってるし、確かにあの人は理想の彼氏タイプかもしれないし。別に大した事じゃないか」

明らかに気にしていながらも、ここが妥協点だとばかりに、直希も折れた。そもそも、あそこで実の名前が出なかっただけでもよしとするべきかと。
すると大河が、直希の機嫌がようやく直ったことでホッとした笑みを見せてから、

「直希は俺が女やなくても、付き合いたい相手やもん」

ボソリと、そう呟いた。

「…え?」

直希がキョトンと訊き返すと、

「1年前の今日、俺はそういうつもりで、お前の手を取ったんやけど」

そう言いながら大河が近づいて……

「現実は男である俺が、男とこんなことしたいのは、お前だけやし」

チュッと、軽いキスをして。

「現実は男である俺が、男にこんなものもらって嬉しいのも、お前だけや」

胸元のネックレスを揺らして、そこに光るリングを見せた。
昨年の大河の誕生日に直希が贈った、シルバーリング。ペアのそれは、あの日からずっと、2人の右手薬指や胸元で輝き続けている。

「念のために言うとくけどな、ああいう場所でああいう質問に俺が簡単に名前を出せるっていうのは、その人のことを"そういう風"に全く見てないってことなんやから」
「当たり前だ。見てたら一大事だろーが」
「っさい。とにかく、俺はお前と違ってそういうの平気な顔で言えへんねんて」

そう言いながら、すでに大河の顔は赤くなっている。そんな彼に直希は思わず微笑んでしまい、その薄い肩を抱いた。

「わかってる。わかってるよ…」

大河が"そういう意味"で好きなのは、自分だけ。それを理解しているつもりでも、やはり直希は、些細なことでやきもちを妬いてしまう。独占したがってしまう。
それはきっと、自分と同じ男たちにも大河を手に入れたがる人間が多いからだ。
それでも彼が愛するのは自分だけで、それが紛れも無い事実。どんなに子供じみたことで不機嫌になろうと自分を許してくれるこの瞳が、それを物語っていた。

「…ゴメン大河、俺またガキみたいな事した」

大河の黒髪にチュッとキスをして、抱きしめる。大河も素直に、直希の背中に腕を回した。

「ええよ、慣れとるし」
「何か俺、すっげぇガキくさいじゃん」
「反省してるなら、今日はおとなしく自分の部屋に帰ってくれるか?」
「大河くん、つれない」
「つれないも何も、歩を追い出せ言うんか?ちなみにアキとかハルには気付かれてるんやで、このひと悶着を。それで歩を追い出してみろ、俺らは明日アイツらにイジり倒されて、恥ずかしさで死ぬわ」
「ちえっ」
「その代わり…」
「ん?」
「ちょっと散歩行こか?」

抱きしめられながら直希を見上げた大河が、そう言って笑う。誕生日と記念日という日に、せっかく一緒に居られるのだからと。

「少しだけ、2人になろうや」

背中に腕は回したまま、そんな可愛いことを言われてしまえば。
夜の誘いは拒否されたものの、直希の心は満たされて、

「うん、行こう」

大河の言葉で機嫌を損ねた直希は、今回も大河の言葉で機嫌を直した。
そしてせっかく仲直りしたとなれば、このままはやっぱり我慢できず、

「でもその前に、これぐらいは良いよな?」

これが妥協案とばかりに、大河の両頬を包み込んで熱いキスをお見舞いした。

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