「Assist(春&歩)」
春海の言い分
Assist 春海の言い分-3
栗ちゃんとの初めてのキスは、本当に軽いもので。
思ってた以上に柔らかい唇は、ものすごく心地が良い。
離れがたくて、何度かその唇を食めば……栗ちゃんの手が、俺のパーカーを掴む。
いやだから。
そういうの期待するから…
こんなことされたらキス以上で済まなくなると判断し、名残惜しくもその唇から離れた。
目の前でそっと目を開けた栗ちゃんの顔は、なんだか妙にエロくて。
「は…はいっ!終了!!」
ちゅっと最後にもう一回だけキスして、俺は慌てて離れた。
「くく、栗ちゃん、なんかエロいなぁ」
ハハハと笑いながら、俺は彼とは逆側の端っこに座る。
ヤバイ。超ドキドキしてる。
コイツ、あんな顔するんや。
「まだまだ子供やと思うてたのに、なぁ?」
一生懸命に普段のトーンを繕う俺やけど、
「ハハ……ハ」
自然に、不自然なその笑いは止まった。
だって、
「どうしたん?」
栗ちゃんが、俯いて動かなくなってしまったから。
「えっと…あれ?ゴメン、やっぱ嫌やった?」
伺うように、声をかける。
すると…
「……じゃない」
小さく、なにか呟いて。
「……子供じゃ、ない」
今度ははっきりと、そう言った。
そして顔を上げて、俺に近づいてくる。
「え??」
「子供じゃないよ、俺。だから、こんなんじゃなくて、もっとすごいのできる」
「…へ?」
今度は俺が、めいっぱい後ずさる。
「ハルさん、する?」
そして、俺の体の両脇に手を付いて。
「俺、してあげるよ?」
最近してないんでしょ?―――って。
再びの、ドアップ。
いやいや、勘弁してくれ。
何やねん、この子。
「ちょっと、栗ちゃん、待って」
俺は慌てて栗ちゃんの両肩に手を置いて、一定の距離を保つ。
「あのさ、どうしたん?子供ってのが気に入らんかった?」
俺に対して怒ったことなんてないから、焦る。彼の何が地雷やったんかと。
でも別に、バカにしたわけではないし。このぐらいのことは普段から言ってる。
それなのに、どうして……
「なあ、ゴメンな?俺別に、バカにしたわけやないよ?実際今、栗ちゃんめっちゃ色っぽかったし。寧ろ俺、ちょっとクラッときちゃったっていうか……
……って、何でそんな赤い顔してるの?」
俺の言葉を聞いていた栗ちゃんが、一気に真っ赤になって。ストレートにそう訊いたら、慌てて目を逸らした。
そして、気付く。
―――あれ?もしかしてコイツ……
「ハルさんて、どこまで本気なの?」
俯いたまま、栗ちゃんが呟く。
「どう合わせたらいいか、ときどきわからなくなる」
「え…?」
「今だって…冗談でキスとか、信じらんないよ。俺は、そんなこと……」
「冗談じゃないって言ったら?」
顎を掴んで、こっちに向けた。
栗ちゃんは目を丸くして、また俺を見る。
「俺は、栗ちゃんにキスしたかったからしただけ。
栗ちゃんは?冗談でキスしないってことは、何で俺としたの?」
「……そ、それは…」
「なぁ俺、今は冗談で話してへんよ?」
こんな話すら俺のいつものノリやと思われたくないから、はっきりと断言した。
栗ちゃんの反応がただ単に思わせぶりな態度だっただけというオチもありえるけど、それでももう、ええと思った。どうせこの状況じゃ、誤魔化したところで後々気まずい。
「お、俺だって…してもいいと思ったから…したんだ」
言葉を選びながら彼がくれた答えは、どうにでもとれる言い方。
「そっか。流されてくれたんや」
あんまりいじめてもかわいそうやから、少し軽いトーンで答えて返すけど、
「な、流されてなんてないっ!」
何故か、怒られた。
「どうしていつもそうなんだよ。ハルさん、俺のこと好きとかかわいいとか、そうやって気軽に言ってくるけど…同じトーンで、まるで口説き文句みたいなことも言ってきたり…意味わかんないよ」
「え?あ、うん…」
なんや、ちゃんと気付いてたんや。
俺が、冗談装って栗ちゃん口説いてたこと。
「他の人にも言ってるのかと思ったけど、そういうことは俺にしか言わないし…」
「そうやね」
「だから、完全にからかわれてるって思ってたんだ。
でも…だとしたら、どう返せばいいんだろうって…。真面目に返したら馬鹿みたいだし、かといって上手な返し方知らないし」
「それで、いつも笑ってはぐらかしてたんや」
「真に受けたら、きっとバカにされるから…」
「真に受ければよかったのに」
「え?」
「バカになんてするわけないやんか」
顎を掴んでいた手をずらし、栗ちゃんの頬に触れる。
「俺別に、栗ちゃんと大喜利したかったわけやないし、相手困らせて喜ぶタイプでもないし。面白い答えも困ったリアクションも、望んでへんよ?」
「ハルさん…?」
「なあ、栗ちゃんはさ、俺にそういうこと言われて、どう思ってたん?」
親指で、唇に触れた。
俺のキスを、受け止めてくれたその唇。
できるなら、もう一度…いや何度でも、触れたいから。
「ねぇ栗ちゃん、俺の勘違いやったらゴメンな?」
「………」
「……俺のこと、好き?」
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思ってた以上に柔らかい唇は、ものすごく心地が良い。
離れがたくて、何度かその唇を食めば……栗ちゃんの手が、俺のパーカーを掴む。
いやだから。
そういうの期待するから…
こんなことされたらキス以上で済まなくなると判断し、名残惜しくもその唇から離れた。
目の前でそっと目を開けた栗ちゃんの顔は、なんだか妙にエロくて。
「は…はいっ!終了!!」
ちゅっと最後にもう一回だけキスして、俺は慌てて離れた。
「くく、栗ちゃん、なんかエロいなぁ」
ハハハと笑いながら、俺は彼とは逆側の端っこに座る。
ヤバイ。超ドキドキしてる。
コイツ、あんな顔するんや。
「まだまだ子供やと思うてたのに、なぁ?」
一生懸命に普段のトーンを繕う俺やけど、
「ハハ……ハ」
自然に、不自然なその笑いは止まった。
だって、
「どうしたん?」
栗ちゃんが、俯いて動かなくなってしまったから。
「えっと…あれ?ゴメン、やっぱ嫌やった?」
伺うように、声をかける。
すると…
「……じゃない」
小さく、なにか呟いて。
「……子供じゃ、ない」
今度ははっきりと、そう言った。
そして顔を上げて、俺に近づいてくる。
「え??」
「子供じゃないよ、俺。だから、こんなんじゃなくて、もっとすごいのできる」
「…へ?」
今度は俺が、めいっぱい後ずさる。
「ハルさん、する?」
そして、俺の体の両脇に手を付いて。
「俺、してあげるよ?」
最近してないんでしょ?―――って。
再びの、ドアップ。
いやいや、勘弁してくれ。
何やねん、この子。
「ちょっと、栗ちゃん、待って」
俺は慌てて栗ちゃんの両肩に手を置いて、一定の距離を保つ。
「あのさ、どうしたん?子供ってのが気に入らんかった?」
俺に対して怒ったことなんてないから、焦る。彼の何が地雷やったんかと。
でも別に、バカにしたわけではないし。このぐらいのことは普段から言ってる。
それなのに、どうして……
「なあ、ゴメンな?俺別に、バカにしたわけやないよ?実際今、栗ちゃんめっちゃ色っぽかったし。寧ろ俺、ちょっとクラッときちゃったっていうか……
……って、何でそんな赤い顔してるの?」
俺の言葉を聞いていた栗ちゃんが、一気に真っ赤になって。ストレートにそう訊いたら、慌てて目を逸らした。
そして、気付く。
―――あれ?もしかしてコイツ……
「ハルさんて、どこまで本気なの?」
俯いたまま、栗ちゃんが呟く。
「どう合わせたらいいか、ときどきわからなくなる」
「え…?」
「今だって…冗談でキスとか、信じらんないよ。俺は、そんなこと……」
「冗談じゃないって言ったら?」
顎を掴んで、こっちに向けた。
栗ちゃんは目を丸くして、また俺を見る。
「俺は、栗ちゃんにキスしたかったからしただけ。
栗ちゃんは?冗談でキスしないってことは、何で俺としたの?」
「……そ、それは…」
「なぁ俺、今は冗談で話してへんよ?」
こんな話すら俺のいつものノリやと思われたくないから、はっきりと断言した。
栗ちゃんの反応がただ単に思わせぶりな態度だっただけというオチもありえるけど、それでももう、ええと思った。どうせこの状況じゃ、誤魔化したところで後々気まずい。
「お、俺だって…してもいいと思ったから…したんだ」
言葉を選びながら彼がくれた答えは、どうにでもとれる言い方。
「そっか。流されてくれたんや」
あんまりいじめてもかわいそうやから、少し軽いトーンで答えて返すけど、
「な、流されてなんてないっ!」
何故か、怒られた。
「どうしていつもそうなんだよ。ハルさん、俺のこと好きとかかわいいとか、そうやって気軽に言ってくるけど…同じトーンで、まるで口説き文句みたいなことも言ってきたり…意味わかんないよ」
「え?あ、うん…」
なんや、ちゃんと気付いてたんや。
俺が、冗談装って栗ちゃん口説いてたこと。
「他の人にも言ってるのかと思ったけど、そういうことは俺にしか言わないし…」
「そうやね」
「だから、完全にからかわれてるって思ってたんだ。
でも…だとしたら、どう返せばいいんだろうって…。真面目に返したら馬鹿みたいだし、かといって上手な返し方知らないし」
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総もくじ
★女は災い(陸×千)【連載中】

総もくじ
That night(実×大河)

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パンドラの箱(三角関係)

- ┣ パンドラの箱(三角関係)について
- ┣ Prologue
- ┣ 1:ガラスの絆
- ┣ 2:想定外の温もり
- ┣ 3:パンドラの箱
- ┣ 4:コワレモノ
- ┣ 5:決意と決別
- ┣ 6:強硬手段
- ┣ 7:幸福の選択
- ┣ 8:メビウス・ループ
- ┣ 9:はじめて
- ┣ 10:あるがまま
- ┗ Epilogue~次の強敵~
総もくじ
Hide-and-seek(直×大)

- ┣ Hide-and-seek(直×大)について
- ┣ Prologue
- ┣ 1:迫り来る過去
- ┣ 2:Breakdown
- ┣ 3:決戦の日
- ┣ 4:守りたいもの
- ┣ 5:Hide-and-seek
- ┣ 6:氷点下の恋
- ┣ 7:もう一度君に
- ┣ 8:黎明
- ┗ Epilogue~終息の朝~
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Engagement(直×大)

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アゲイン(陸×千)

- ┣ アゲイン(陸×千)について
- ┣ Prologue
- ┣ 1:疑惑の男
- ┣ 2:あるがままの自分
- ┣ 3:アゲイン
- ┣ 4:手さぐりの夜
- ┗ Epilogue~メンバーの内緒話~
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Beyond Silence(W大)

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痴話喧嘩(直×大)

- ┣ 痴話喧嘩(直×大)について
- ┣ Prologue
- ┣ 1:誇りと不安
- ┣ 2:起爆剤と痴話喧嘩
- ┣ 3:溺愛と協力
- ┣ 4:無自覚と×××
- ┣ 5:話し合いと持久戦
- ┗ Epilogue~翌朝の痴話喧嘩(?)
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reward(直×大)

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- ┣ Prologue
- ┣ 1:戻った日常
- ┣ 2:お気に召すまま
- ┣ 3:聖なる夜の思い出
- ┣ 4:reward
- ┗ Epilogue~聖なる朝~
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極夜(直×大)

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- ┣ 2:決心
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- ┣ 6:親愛
- ┣ 7:誓い
- ┗ Epilogue~訪問者~
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シンクロニシティ(直×大)

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- ┣ Prologue
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Stranger(直×大)

- ┣ Stranger(直×大)について
- ┣ 1:見知らぬ恋人
- ┣ 2:熱い胸騒ぎ
- ┣ 3:独占欲と自覚
- ┣ 4:恋の浸透圧
- ┗ Epilogue~鉢合わせ、再び~
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その先へ(直×大)

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- ┣ Prologue
- ┣ 1:告白
- ┣ 2:拒絶
- ┣ 3:衝突
- ┣ 4:告白2
- ┣ 5:その先へ
- ┗ Epilogue~ある3人の目撃談~
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優しい嘘(直×大)

- ┣ 優しい嘘(直×大)について
- ┣ Prologue
- ┣ 1:忠告
- ┣ 2:きっかけ
- ┣ 3:優しい嘘
- ┣ 4:それぞれの言い分
- ┣ 5:熱帯夜
- ┣ 6:陸の言い分
- ┗ Epilogue~はじまりの日~
もくじ
※ごあいさつと注意事項

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※設定・登場人物

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