FC2ブログ

「Assist(春&歩)」
春海の言い分

Assist 春海の言い分-3

 ←Assist 春海の言い分-2 →Assist 春海の言い分-4
栗ちゃんとの初めてのキスは、本当に軽いもので。
思ってた以上に柔らかい唇は、ものすごく心地が良い。
離れがたくて、何度かその唇を食めば……栗ちゃんの手が、俺のパーカーを掴む。

いやだから。
そういうの期待するから…

こんなことされたらキス以上で済まなくなると判断し、名残惜しくもその唇から離れた。
目の前でそっと目を開けた栗ちゃんの顔は、なんだか妙にエロくて。

「は…はいっ!終了!!」

ちゅっと最後にもう一回だけキスして、俺は慌てて離れた。

「くく、栗ちゃん、なんかエロいなぁ」

ハハハと笑いながら、俺は彼とは逆側の端っこに座る。
ヤバイ。超ドキドキしてる。
コイツ、あんな顔するんや。

「まだまだ子供やと思うてたのに、なぁ?」

一生懸命に普段のトーンを繕う俺やけど、

「ハハ……ハ」

自然に、不自然なその笑いは止まった。
だって、

「どうしたん?」

栗ちゃんが、俯いて動かなくなってしまったから。

「えっと…あれ?ゴメン、やっぱ嫌やった?」

伺うように、声をかける。
すると…

「……じゃない」

小さく、なにか呟いて。

「……子供じゃ、ない」

今度ははっきりと、そう言った。
そして顔を上げて、俺に近づいてくる。

「え??」
「子供じゃないよ、俺。だから、こんなんじゃなくて、もっとすごいのできる」
「…へ?」

今度は俺が、めいっぱい後ずさる。

「ハルさん、する?」

そして、俺の体の両脇に手を付いて。

「俺、してあげるよ?」

最近してないんでしょ?―――って。
再びの、ドアップ。
いやいや、勘弁してくれ。
何やねん、この子。

「ちょっと、栗ちゃん、待って」

俺は慌てて栗ちゃんの両肩に手を置いて、一定の距離を保つ。

「あのさ、どうしたん?子供ってのが気に入らんかった?」

俺に対して怒ったことなんてないから、焦る。彼の何が地雷やったんかと。
でも別に、バカにしたわけではないし。このぐらいのことは普段から言ってる。
それなのに、どうして……

「なあ、ゴメンな?俺別に、バカにしたわけやないよ?実際今、栗ちゃんめっちゃ色っぽかったし。寧ろ俺、ちょっとクラッときちゃったっていうか……
……って、何でそんな赤い顔してるの?」

俺の言葉を聞いていた栗ちゃんが、一気に真っ赤になって。ストレートにそう訊いたら、慌てて目を逸らした。
そして、気付く。

―――あれ?もしかしてコイツ……

「ハルさんて、どこまで本気なの?」

俯いたまま、栗ちゃんが呟く。

「どう合わせたらいいか、ときどきわからなくなる」
「え…?」
「今だって…冗談でキスとか、信じらんないよ。俺は、そんなこと……」
「冗談じゃないって言ったら?」

顎を掴んで、こっちに向けた。
栗ちゃんは目を丸くして、また俺を見る。

「俺は、栗ちゃんにキスしたかったからしただけ。
栗ちゃんは?冗談でキスしないってことは、何で俺としたの?」
「……そ、それは…」
「なぁ俺、今は冗談で話してへんよ?」

こんな話すら俺のいつものノリやと思われたくないから、はっきりと断言した。
栗ちゃんの反応がただ単に思わせぶりな態度だっただけというオチもありえるけど、それでももう、ええと思った。どうせこの状況じゃ、誤魔化したところで後々気まずい。

「お、俺だって…してもいいと思ったから…したんだ」

言葉を選びながら彼がくれた答えは、どうにでもとれる言い方。

「そっか。流されてくれたんや」

あんまりいじめてもかわいそうやから、少し軽いトーンで答えて返すけど、

「な、流されてなんてないっ!」

何故か、怒られた。

「どうしていつもそうなんだよ。ハルさん、俺のこと好きとかかわいいとか、そうやって気軽に言ってくるけど…同じトーンで、まるで口説き文句みたいなことも言ってきたり…意味わかんないよ」
「え?あ、うん…」

なんや、ちゃんと気付いてたんや。
俺が、冗談装って栗ちゃん口説いてたこと。

「他の人にも言ってるのかと思ったけど、そういうことは俺にしか言わないし…」
「そうやね」
「だから、完全にからかわれてるって思ってたんだ。
でも…だとしたら、どう返せばいいんだろうって…。真面目に返したら馬鹿みたいだし、かといって上手な返し方知らないし」
「それで、いつも笑ってはぐらかしてたんや」
「真に受けたら、きっとバカにされるから…」
「真に受ければよかったのに」
「え?」
「バカになんてするわけないやんか」

顎を掴んでいた手をずらし、栗ちゃんの頬に触れる。

「俺別に、栗ちゃんと大喜利したかったわけやないし、相手困らせて喜ぶタイプでもないし。面白い答えも困ったリアクションも、望んでへんよ?」
「ハルさん…?」
「なあ、栗ちゃんはさ、俺にそういうこと言われて、どう思ってたん?」

親指で、唇に触れた。
俺のキスを、受け止めてくれたその唇。
できるなら、もう一度…いや何度でも、触れたいから。

「ねぇ栗ちゃん、俺の勘違いやったらゴメンな?」
「………」
「……俺のこと、好き?」

関連記事
スポンサーサイト
↓ランキングに参加しています。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL恋愛小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png 短編作品
総もくじ 3kaku_s_L.png ★直感(春×歩)【準備中】
総もくじ 3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編作品
総もくじ  3kaku_s_L.png ★直感(春×歩)【準備中】
総もくじ  3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【Assist 春海の言い分-2】へ
  • 【Assist 春海の言い分-4】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Assist 春海の言い分-2】へ
  • 【Assist 春海の言い分-4】へ