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「直感(春×歩)」
2:予定変更

直感 2-2

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天気予報どおり雨は勢いを増しているようで、昼ごはんすら買いに行けないなと、栗原はコーヒーを入れながら思った。
しかし春海は相変わらず危機感が薄くて、

「栗ちゃん、どっか行きたいとこある?」

なんて呑気なことを訊いてくる。
ソファに腰を下ろして細い脚を組んだ春海は、相変わらずどこぞのモデルばりにオシャレな着こなしをしている。細いせいか、黒いパンツに長めのカーディガンがよく似合う。
栗原自身も服装には気を遣っているが、どちらかといえば小生意気な渋谷系で、大人っぽいオシャレをする春海とは大違いだ。

「この雨じゃムリだって」

栗原は苦笑いをしながら、自分の分には砂糖とミルクを入れ、気分によってブラックか砂糖ミルク入りか変わる春海には砂糖とポーションミルクをボトルごと目の前に置いてやった。

「じゃあ、DVDでも観ようか。なんかある?」

相変わらず大胆な置き方するよね、と笑いながら、春海はブラックのままコーヒーに口をつけ、栗原の腕を引いて自分の隣に座らせた。

「何が観たい?DVDじゃなくても、おれAma●onプライムだからいろいろ観れるよ」
「お。じゃあね~、あれは?え~っと…ほら、邦画でさ、ええ感じのやつ」
「いっぱいあるね、それ(笑)どんなやつ?」
「最近のやん。社会派系のやつで、大河がめっちゃ面白かったって言ってた。史孝さんも観たって言ってた…」
「ん?ああ、あれね」

そのヒントですぐに気付いた栗原がタイトルを口にすると、

「そーそれそれ!」

やっぱ栗ちゃんわかってくれたねーと、春海が栗原の頭を撫でた。

「あれ、観れるかなぁ?」
「どうかね?DVD出てたら観れるんじゃない?基本」

テレビをつけて検索を始める。
そういえば春海と以前、映画行ったことがあるなぁと栗原がふと考えると、

「そういえば栗ちゃんとさ、去年も一緒に映画行ったね。あれ面白かったよね」

隣の春海も、しみじみと呟いた。

「え?」
「……ん?」

驚いて顔を向けた栗原に、春海が「どしたん?」と首を傾げる。
栗原は思わず笑った。

「いや、俺も今、同じこと考えてたから」
「ホンマに?」
「ホンマに」
「わっ以心伝心やんか~~」

それだけで嬉しそうに肩をよせてくる春海に、栗原も笑いながら画面を操作した。
しかし…

「あ~無いねぇ」

目当ての映画は見つからず、

「あれ、まだDVD出てないのかもね?」

そういえばつい最近までロングラン上映していたと気付く。そもそもミニシアター映画だし、きっと全国映画より遅いのかもしれない。
仕方なく2人は、ゲームをはじめることにした。


お互いゲーム好きとなれば、それなりに熱くなっていく。
お腹の虫が鳴り出したことで、すでに昼過ぎなのだと気付いた。

「結局ゲームしかしてへんなぁ、俺ら」

台風と大雪以外なら届けてくれるというありがたいデリバリーシステムのおかげで、温かいピザを頬張りながら春海が笑う。確かに、と栗原も笑った。

「まあ、いいよね。のんびり過ごすのも」
「うん。なんか栗ちゃんと同棲してる気分やもん」

ヘアセットも着替えもまだしていなかった栗原は、そのままラフな格好をしている。家モードの彼と居ると、一緒に暮らしている気分になってくるのだ。

「どんな脳内してんだよ、まったく」

呆れた栗原が眉を八の字に下げて、食事を機につけていたテレビに顔を戻した。
テレビでは天気予報が流れており、深夜まで雨が続くことを告げている。

『関東地方は、夕方にかけ雨足は更に強くなり、明け方まで激しい雨が予想されます。無理な外出はお控えください』

「…だそうです、けど」

テレビを指差して、また春海に顔を向けた。

「…ねぇ?」

さすがの春海も、苦笑いになっている。
帰るならいまのうちかもしれないが、せっかく恋人と休日を過ごしているのに、もう帰るのは名残惜しいと思う。
それは栗原も一緒で、心配だから『もう帰れ』と言った方がいいのは分かっているが、言えない。

「え~、せっかく栗ちゃんと一緒なのになぁ」

春海が素直に口にして、付属で頼んでいたナゲットのラスト1個を口元に持っていくと、

「そうだね…」

栗原が、手にしていたピザをデロンとさせたまま呟いた。
照れもせず素直に出たその返事に、思わず春海はナゲットを目前に口を開けた状態のまま隣を見た。
床に座っているとはいえ膝を立てて食べるという若干行儀の悪い栗原は、春海がこちらを向いたことも気付かず、シュンとしたまま、「でも…」と伺う様に窓の外を眺めていて。

―――か、かわいい…

春海は今日何度目かのその感想を心で漏らし、『こんなんで誰が帰れんねん!』と、やはり心の中で叫んだ。
だから、

「あ、あのさ、栗ちゃん」
「ん?」
「夕方でも、たぶん大丈夫よ。ほら、ウチ近いし。10分やろ?そんな、事故らんて」

そう提案してみたのだが、

「ダメだってのっ」

この期に及んで車で帰るとぬかすんかい、とばかりに、春海が食べようとしていたナゲットを奪って栗原はにらみつけた。

「これ俺の」
「そっちかい」
「いや、これはついで。天気予報見たでしょ?」

春海がナゲットを全部食べていたことに気付いたのかちゃっかり奪い返した冷静さを出しつつ、栗原はナゲットがついたままのフォークでテレビを指す。

「え~でも、もっと栗ちゃんと居たいよ」

ナゲットを諦めてピザを取りながら春海が言うと、栗原は困ったように眉を寄せ、自分にとって1個目にしてラス1のナゲットをやっと口に入れた。

「美味しい?栗ちゃん」
「4個食ったんだから知ってんじゃない?」
「ですよね~」

えへへ、と悪びれることなく笑う春海を眺めながら、栗原はしばし考えた。
春海はまだ自分と居たいと言うし、自分もまた同じ。
でも雨はこれからどんどん強くなるし、朝方まで止まない。たとえ10分といったって、車通りの多い道路を帰らせるのは危険だ。
それならば…と、不意に思いついた考えは―――

「あの、さ…」
「んー?」
「…もしよかったら、ハルさん、今日…泊まってく?」

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