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「Hide-and-seek(直×大)」
Epilogue~終息の朝~

Hide-and-seek Epilogue

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【Epilogue~終息の朝~】

数時間後。朝8時半。

「よく眠れましたか?お姫様」

大河が眠い目をこすりながら朝食会場に訪れると(←眠くても朝食は食べる)、背後から実が、肩を抱いてそう言ってきた。彼の傍では、拓郎と春海と栗原もニヤニヤ笑っている。

「姫?」

自分のどこを捕まえてそんなことを言うのだと大河が首を傾げると、

「聞いたで」

実が、口の片端だけを上げてニヤリと笑う。そして、視線の先でマネージャーに呼び止められている直希の背中をちらりと見てから、大河に向き直った。

「お城に閉じ込められたお姫様を、チャラい王子様が助け出したんやろ?」
「……へ?」
「って、陸さんが言うてたで」

―――兄貴っ!!

何つー表現をするのかと、大河は兄の姿を探すが。
その兄は、眠そうな顔をしながらも優雅にコーヒーを飲みながら、朝食のパンを齧っている。

「やるなぁ、ゲロ甘バカップル」
「深刻そうなケンカしとったかと思えばB級恋愛映画並みのイチャつきとか、ホンマ、忙しいことですなぁ?」

拓郎と春海が、ニヤニヤとワザとらしい小声で囁いてきて。栗原まで、楽し気に大河の肩を押してくる。出来立てほやほやのバカップル(春海&栗原)にまで冷やかされて、大河は真っ赤になって俯いた。
そんな大河に、実が肩を抱き寄せながら顔を覗き込んでくる。

「まあでもその様子やと、お前の失ったモンは、戻ってきたんやな?」

そもそも失ってもいないだろうが、とは思いつつ、実がそう問えば。

「…うん」

照れ臭そうに、でも明らかに嬉しそうに大河が小さく頷く。
朝から見せつけられて、4人は"やれやれ"と顔を見合わせて笑っていたのだが、

「ん?」

実が、昨日までは大河の胸元で光っていたリングが指に嵌まっているのに気付いて、その手をとった。
ネックレスが壊れてしまったのなら指に嵌めろと直希から言われた為で、それ自体はもう1年近くずっとつけていたものなのだが、

「何や、えらいもんつけられとったんやな、お前」

はっきりと指輪を見たことがなかったせいか、それなりに意味を成していそうなデザインと、右手とはいえ薬指に嵌まっていることに実が笑った。
拓郎と春海と栗原も「薬指ぃ~」と顔を寄せてきたとき、

「ちょっとちょっと、何してんだよっ」

目ざとくそのかたまりを見つけた直希が、今日も絶妙なタイミングで輪の中に入ってくる。
そして、大河の肩を抱いた上に手を取る実を引きはがし、

「アンタだけ絶対距離がおかしいんだよ」

メンバーとはいえ4つも年上の先輩相手に、遠慮なくそう言いつけた。
それを実は、ハハッと笑った。

「何やねん、あっさり戻りやがって」

これでこそ、直希だと思う。
暑苦しいほどに大河に夢中で、相手が誰でも牽制して。陸に対してだって遠慮が無い。そしてそのぐらいの愛情が、隙だらけの大河にはちょうどいいのかもしれないと思えるし、何故か彼らだと嫌味がないから不思議だ。自然に、応援してやりたくなってしまう。
だから、やっといつもの空気が戻ってきてホッとするものの……

「ヨリ戻すの早すぎやろ」

傍に居てやった自分をすり抜けて大河があっさり直希の手に戻ったのが、実は何となく癪だから、

「せ~っかく大河を独占できてたのにな?」

また大河の肩に手を置いて覗き込めば。

「は?戻るも何も、そもそも離れてねぇから」

間髪入れずにその手を直希がまた振り払い、

「いちいち顔近づけるの、やめてくれます~?」

実にすっぽりと納まるサイズの大河を引き離すと、

「大河が小さいからって、力でねじ伏せんなよな」

これまた両方に失礼な言葉を吐いて、大河の肩を抱きよせた。
大河は一瞬ポカンとしていたが、

「って、小さいて何やねんっ」

すぐにその失言に気付いて、直希に食って掛かる。

「俺やってそれなりに身長あるわ」
「はいはい。179cmなんだもんね~」
「そうやっ、ホンマやぞ」
「靴履いたら、だっけ?」
「……うっ」
「でも180だと嘘っぽいから179だっけ」
「~~~~!!」
「179ってことは俺と6cm差か。ってことは、ここら辺に目が…って、あれ?大河の目が無いっ!」
「それデコじゃアホっ」

相変わらず"身長ズルネタ"でいじられながら、結局6人でわらわらと席に着く。それを、周囲のマネージャーらが笑って。
陸は、2杯目のコーヒーを飲みながら、溜め息混じりにそれを眺めていた。

「昨日の悲壮感は何やねん」

変わりすぎだろうと、呆れたようにまた息を吐いて。

―――大河もそろそろ身長正直に言うたらええのに…

何をそんなに数cmに拘るのだろうかと、175cmあればじゅうぶんだろうにと、おかしなこだわりを持つ弟に頭を掻く。
それにしても…

「大河、俺のブロッコリーとその唐揚げ、交換しない?」
「どんな比重や。だったらそのスクランブルエッグも寄越せや」
「ええやん大河、代わりに俺の唐揚げやるで?」
「え♪(o゚▽゚)」
「実は入ってくんなっ。大河もその気になるなっ」

本当に、朝から騒がしいカップルだ。実がまた上手い具合に掻き回すものだから、一層拍車が掛かる。
でも……

―――まあ、ええか

2人を見守る実が相手なら、微笑ましく見ていられる。大河も直希もまた、実を信頼しているからこそのやりとりなのだから。

「ゲロ甘バカップルめ…」

自分と千田を棚に上げて、言い得て妙なその通称を口にしながら、陸も思わず笑った。

Fin.


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