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「★パンドラの箱(三角関係)【連載中】」
5:決意と決別

パンドラの箱 5-4

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リビングのソファに並んで、実が淹れてくれたコーヒーを2人で飲む。
テレビも点けず、何となく実が広げてくれたファッション雑誌を大河も覗いて、時折目に付いた洋服について軽く会話を交わして。
梅雨も明け、暑さ厳しい夏の夜。エアコンで程よく冷えた部屋は、寒がりの大河には若干冷えを感じたのか、

「…ックシュンっ」

思わずくしゃみをすれば、自然に実の腕が大河の肩に伸びた。

「寒いか?」

抱き寄せられて、覗き込まれて。心配そうに伺ってくる実に、大河は微笑んだ。

「パーカー着てれば大丈夫。実が寒くなければ、このままでええよ」

リモコンを手に取ろうとする実を制して、自分はダイニングの椅子にかけておいたパーカーを取りに行き、それを着てまたソファに戻る。
そして何となく、2人で見つめ合えば―――

「…………」
「…………」

実の腕が再び大河の肩に回ったことが合図のように、実が顔を近づけ、大河は目を閉じた。
互いに体を向けるようにして、実がもう片方の手を大河の太腿あたりに伸ばす。大河はその腕にそっと触れて、まもなく口内に入ってきた彼の舌を受け入れた。
激しくはなく優しいキスなのだが、ゆっくりと侵入してきた舌は、丁寧に大河の口腔を味わっていく。互いにビターなコーヒーの味がするキスは、コーヒーのアロマ効果かどうかは分からないが、心が落ち着いていくようで……

「ん……」

小さく息を漏らした大河が、実のTシャツの裾を軽く掴むと、

「大河…」

低くて優しい、実の声にも色気が帯びて。
太腿に触れていた手が、やがて大河の中心に移動したところで、

「ん…!待っ―――」

慌てて大河は唇を離して、実の手を掴んだ。

「そ、それは、アカンよ」

話が違うと、何度も首を左右に振る。
だが実はあまり動じずに、

「嫌か?」

しかしそこから手は離さずに、顔色も変えずに訊ねてきた。

「だって、こんなことしたら、俺……」
「大丈夫や大河、最後まではせぇへんよ」

大河の懸念をすぐに理解して、実は空いた手であやすように大河の頭を撫でて言い聞かせる。
すると一瞬動きを止めた大河は、視線を上げて、思わず考えて。それならOKだろうか…とでもいうような表情は、彼の隙の多さと流されやすさと騙されやすさの現れ。
あまりに大河らしい反応に、実はプッと吹き出した。

「お前が気持ちよさそうな顔してたから、ついでにコッチも気持ち良くしたいだけや」
「で、でも……そんなことしたら実のこと、俺……」
「気にしなくていい。俺がしたくてすることや。人によっては、男友達同士でヌき合う奴やって居るやんか」
「お…俺は、俺はせえへん」
「俺もや」
「ちょっ、どういうことやねんっ」
「アハハ…」

焦りながらもちゃんとツッコミを入れてくる大河もまた彼らしくて、この状況にもかかわらず実は笑いが止まらない。
そんな実に大河は困ったように眉を寄せているが、服の上からそこに触れてくる彼の手が動きを止めてくれていることに気づいて、表情を緩めた。
実は、強引に誘っているようで、無理強いはしていない。大河の意思を尊重する、という言葉通りに。恋人同士であれば多少強引であっても許されるレベルのわがままだが、自分たちはまだ"前提"の付き合いである以上、大河に考える時間をくれている。
それを痛感した大河は……

「実は、どうすんの?」

そう訊きながら、恐る恐る彼の中心へと手を伸ばす。
大河の意外な行動に思わず実が少しだけ腰を引いたが、追いかけるように大河は、彼の自身を服の上から軽く撫でた。

「…大河?」
「俺も…させてくれる?」
「え?」
「実が…嫌やなかった、ら……」

本当にいいのだろうかという迷いはまだあるが、あんな濃厚なキスをした時点で、彼との関係は確実に進んでしまった。あれをすんなりと受け入れたのだから、こんなことだって期待されて当然だ。
そして自分も、進んでみたいと、思う。
進むことで、見えてくる気持ちがあるんじゃないかと。
進んでみたいと思えるこの人となら……

「俺の手じゃ、イケへんかもわからんけど、でも…んっ!」

言いかけた言葉を遮って、実が唇を塞いできた。同時に彼の手が、大河の自身をギュッと握って。その刺激に大河も、彼の自身を思わず掴んだ。握り締めたそこが、硬くなって。

「お前の手でイケへんかったら、誰の手でもイケへんから安心せえ」

たとえ自分自身の手でも、と実が笑う。
そんな実の表情も言葉も、世の女性たちならキュン死にしそうなほどの色気で溢れているが。大河にとっては、そんなセクシーな言動さえホッとする材料で。自分の中心を優しく撫で上げてくる手つきも、快感と安らぎを与えてくれるから。
ただただ穏やかに、でも確実に追い上げられていくような、不思議な感覚だった。

「実…」
「大河、少しだけ、進もうな?」
「……うん」

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