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「最愛(直×大)」
4:暗い日曜日

最愛 4-2

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誠と大河の数列前で、千田は川口と前後に並んで座っていた。
前の席で爆睡している川口が時折窓に頭をぶつける様があまりにおかしくて、動画を撮って大河に見せたら笑ってくれるだろうかなんて考えながらスマホを開くと、同時に告げる着信。
相手は陸だった。

『お疲れ、俺はいま帰ってきた。直希も一緒。
これから、話をしようと思う』

そのメッセージに、千田はハッとして席を立った。

「ん?あ?着いたか?」

タイミングよく起きた川口が寝ぼけ顔でそう声をかけてくるが、「まだだよ。俺トイレ」とだけ答えると、千田はそのまま後ろの車両デッキへと向かった。
向かう途中、誠の隣で眠る大河の姿が目に入る。
ブランケットで顔が見えなくて、大丈夫だろうかと心配になって思わず立ち止まると、誠が気付いて本から視線を上げた。

「どうした?」
「え、あの……」

事情を知らない誠に何と訊けば良いだろうかと、千田は目を泳がせる。すると誠が、フッと笑って。

「大丈夫。寝てるだけやぞ?」

大河の様子がおかしいという状況しかわかっていない誠もまた、きっと千田も何かしら気付いているのかもしれないというぐらいには勘付いたようで、そう答えてくれた。
確かに、眠る大河の様子に特に異変はなく、心地よさそうに寝息を立てているようにも見えるから、

「ならいいんです」

ここに長居すれば一般の人間に気付かれると察して、千田もすぐにその場を離れた。


デッキに出た千田は、すぐに電話をかける。
相手は、数コールで出てくれた。

「あ、もしもし陸?」





「ん?ああ、お疲れ。…ああ、今新幹線か?」

隣の男が電話を始めてしまったことで、直希は手持ち無沙汰にコーヒーを飲みながら、ぼんやりと部屋を眺めていた。
陸の車に先導されて彼のマンションに到着したのは、10分前。大河がよく言っていた通りの"無駄に広い"リビングに通されて、大河のマンションにあるものと同じソファに通され、イタリアだかどこかの高そうな豆でコーヒーを淹れてもらった。
このリビングを分割すればもう一部屋作れる、と大河がよく言っていたな……なんて、こんなときまで大河のことを思ってしまう。
すると、

「直希か?うん、居るけど……」

不意に自分の名前が出て、直希は意識も顔も陸に向けた。

「え?うん、分かった。言うとくわ」

直希の名前を出したものの特に代わるわけではなかったようで、陸は電話の相手とまた少しやりとりをしてから電話を切った。

「俺が何すか?」

当然そう訊ねれば、陸は首を傾げながらも答える。

「うん。有…千田やったんやけど」
「千田?……ああ、だから新幹線、すか」
「ちょうど今帰ってるところらしいわ、アイツら。あと30分もすれば東京駅に着くって」
「はあ」
「お前に、残っててくれってさ」
「え?」

意外な言葉に、直希も陸と同様に首を傾げる結果となった。

「お前に、話したいことがあるって」
「俺に?」
「うん。絶対に伝えておきたいから、そっち行くから待っててくれって…」

それがどんなことなのか陸も想像できなくて、ただ言われたままを伝える。
直希もまた、千田が自分に何の用だろうと思いつつも、陸も分からないならどうしようもないので、頷くしかできなかった。

「大丈夫すよ。俺はいくらでも」
「そうか。まあどうせ、俺の話もそんなに簡単に終わるもんでもないし、ゆっくり話そう」

東京駅からこのマンションまではタクシーで30分以上はかかるだろうが、千田が自分のあのメッセージを見て連絡をくれた以上、この話に関係することは確実だと感じて、陸はそう言った。
そして、

「まずは、俺の話な?」

コーヒーを一口飲んでから、ゆっくりと口を開く。

「直希、あのな?」
「はい」
「大河のことやけど、」
「はい」
「アイツ、病気や」
「え?」

さらりと流された言葉に、一瞬直希は、聞き逃しそうになった。
だが、

「病気や」

改めてもう一度そう告げられて。
それは、自棄に重苦しい響きを放っていた。
嫌な予感しかしなくて、直希が思わず口を閉ざしていると―――

「恐らく、治ることはない」

ありえない言葉が、大きな衝撃を伴って、広いリビング内に不気味に響いた。
雨音も聞こえないほどに、それは直希から全ての聴覚を失わせたようだった。

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