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「★Old flame(実×大河)【連載中】」
1:実の噂

Old flame 1-5

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実は、自宅に帰ってから数時間後、電話をかけていた。

「あ、さっきはどうも」
『ああ、お疲れ』
「涼太さん今大丈夫?」
『うん。さっき帰ってきたとこ』

相手は風見だ。

「あ、それで…」
『ああ、そうそう。いいじゃん。別にさ、大したことじゃないだろ?』
「まあ、そうやけど」
『楽しみにしてるから、ね?』

子供のように楽しげな風見の声は、どこか強引さも秘めていて。
4つという歳の差を抜きにして、実が断れないことを知っているからこその"提案"であるが故のものだ。

「でも、アイツが何て言うか…」

気乗りしない実があからさまに言い淀めば、

『そのままストレートに言えばいいだけの話じゃん。できるだろ?』

やはり変わらない強さで返ってくる。
この人はいつもこうだ、と実は思う。
ナイーブそうな外見に惑わされると、痛い目に遭う。大河の方がよっぽどナイーブだ。
そしてナイーブだからこそ、

「あんまり刺激したくないねん」

あまり気乗りしない話で。

『でも、俺から言われるのはもっと嫌だと思うよ?』
「当たり前でしょ」

冗談じゃない、と即座に実がツッコむと、電話の向こうで風見が笑った。

『だから、ちゃんと実から言ってくれよ。な?』
「はあ…わかりましたよ」

この人には叶わない、と実も折れて笑った。

「でも、拒否られたらゴメン」
『それは実の話し方次第じゃない?』

フフっと笑って、風見は『おやすみ』と電話を切った。

「話し方次第…ねぇ」

スマホを眺めながら、実は呟く。
画面からその名前を呼び出して、

―――明日でええか

明日も会うのだからわざわざこの時間からする話でもないかと、シャワーへと立った。





陸は、自宅で仕事をしながらテレビを点けていた。
CMから聞こえた声にふと顔をあげれば、風見。そして思い出すのは、廊下での一件。
POLYGON結成に伴い、プロデューサーとして練習生を観察していた自分の耳にも入っていた、いやむしろプロデューサーという立場だったからこそかもしれないが耳に入っていた、実と風見のこと。
それは単なる噂の範疇でしかなく、陸は興味も持っていなかった。バンドとして事務所に登録されていたとはいえ当時まだ養成所に通っていた実と、既に養成所を卒業し俳優としてしっかり道を進み出していた風見が親しかったのは事実だが、それは他の仲間たちも同じだし、大河だって風見に可愛がられていたのだ。
しかし……

『じゃあ、そういうことで、ね』

今日の、風見のあの口調がひっかかる。
あきらかに、ああいう場所ではっきりと言えないことであることを示す、あの口ぶり。あれは、どういう意味だったのだろうと。

もちろん、実が大河を裏切るようなことをするはずがないと、陸は信じてもいる。
過去に2人に何があったとして、実がいま夢中なのは、紛れも無く自分の弟で。あの男の誠実さは何度も見てきたし、コロリと掌を返すような移り気の激しい男でもないと思う。
しかし、

―――まあ、似合っとるわな

残念ながら、それは事実。
当時その噂を耳にしたときも、思わず納得してしまっていた。だからこそ興味が湧かなかったのかもしれない。ありえすぎて。
実の大河への気持ちに気付いたときも、陸は驚いたのだから。"ずいぶんと好みが変わったな"と。正統派の美しさと大人で賢い性格の風見と、見た目も性格も子供っぽさと愛敬が先行する大河では、間逆の人間といえるのだから。だからその頃から、風見とのことは単純にガセだったのかと思うようになってもいた。
しかし今日ああして並ばれると、やっぱり似合っていて。
今の実ではなく、風見と並んでいる彼こそが、陸がイメージしていた実だったから。
オープンな性格の兄・誠とは違ってシャイなせいか感情を表に出さない分、どこかミステリアスで。そのキャラクターと端正な顔だちが見事にマッチしていて、陸も思わず"くそっコイツかっこいいな"と悔しくなるような、クールで冷静沈着な男。それが立花実という男だった。
もちろん陸は、大河のことになるとわかりやすく反応を示す今の実の方が面白くて好きだが。

そして大河の様子を見る限りではきっと、この噂を大河も知っているかもしくは耳にしたはずで、不安いっぱいの顔をしていた。
それはきっと、あの2人があまりにも絵になっていたからで。

「まあ、見た目だけ似合ってても、な…」

ここには居ない大河を宥めるような気休めの言葉を吐いて、陸は小さく溜め息を吐いた。


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