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「Old flame(実×大)」
5:大河の告白

Old flame 5-5

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その行動で実の怒りをダイレクトに感じたのか、大河の表情も凍り付いた。

「………っ!」
「ミキがどんだけ過去を後悔しようが、"もう何もやましいことない"なんて言おうが、誰が信じる?もしそうなったとき、お前が流されない確証、どこにあるんや。さんざんミキに流されて隙に入り込まれて、お前が突っぱねられる確証なんて」
「あ、あるわっ!」

この流れでこんなことしたくないとばかりに、大河が身を捩った。

「今の俺には実がおるやろ!」
「だったら、俺のこと考えてて何で、あいつに迫られて"断れない"て思ったんやっ」

関係が壊れてもいいから抱きたいと言われたら断れなかったと、今まさにそう言ったのだ、大河は。冴島がそんなこと言うはず無いと信じている反面、もし万が一そう言われたら、断れなかったと。実が好きだと、改めて痛感していたというのに……

「俺と付き合ってるからそんなことしないて、それは、俺と付き合えてなかったらお前は、アイツに流される可能性あるってことやんか」
「違っ…」
「そうやろ?俺言うたよな?お前は流されやすいから、お前にやましい気持ちがなくても許さないって」
「だからミキに即答しなかったんや。実にちゃんと確認してからって…」
「だからアカン言うてるやろっ!」

自分の心配や不安や懸念をどうして分かってくれないのだと、実は苛立ちをぶつけるように、大河の体を押さえつけた。

「は、離せや…」

何か危機感を感じて必死で身を捩る大河を、さらに強い力で制する。ジタバタと暴れる足が鬱陶しくて、再びシャツに潜らせた手で胸元を弄ると、

「……あっ、ちょっと…ホンマに…」

明らかに弱まる力。

「今日一日、周りがお前らを何て言うてたか、それ聞いた俺がどんな思いでいたか、知ってるか?」

昼間の一件から溜まり続けたフラストレーションが、一気にあふれ出ていく。

「それ聞きながら、お前とミキのあんな姿見せ付けられて…」

それでも全てが噂話にすぎないと、どこかで期待していたのに。
大河本人から聞かされたのは、全て本当で。
唯一の違いは、大河にはその気がなかったと。
でも付き合っていたのは事実であり、それなりのことだって……

「お前の気持ちがどうであれ、お前らのことはな、噂やないんやぞ?それは"真実"って言うんや」

陸の様子からして、今野と直希の証言からして、陸も知っていたのだろうと実は確信していた。
もう、本人たちからの申し出がなくても、ユニット全体が周知の事実で。そしてきっと、陸やマネージャー陣が、ユニット外に話が漏れないように食い止めていただけのことなのだろう。2人の口からその言葉が出るまでは、誰にも知られないようにと。付き合いの深い事務所同士とはいえ、慎重にと……

「そんなヤツと、何で付き合いを続けてええて言えるん?そもそも、お前がアイツと連絡やりとりしてたのは知ってたけど、そんな過去のあった相手やったなんて。もし知ってたら、させへんかったぞ。付き合いが続いてる以上、俺に言うべきやったんやないんか。俺にバレなければええと思ったんか」

だから実は、

「どこまでアホやねん。そこまでやと思ってへんかったわ」

思わず、言ってしまったのだ。

「さすがに疲れるわ、お前みたいなヤツ…」

その言葉を―――

その瞬間。
大河の動きが、ピタリと止まって。
すぐに実も、マズいと感じた。

「……あ…」

大河に、一番言ってはいけない言葉だったと瞬時に気付いて。
張り詰めた空気。
唯ならぬ、何かを感じる。

「大河…?」

怒っていたとはいえこれはマズかったと実もトーンダウンして、これだけは謝っておくべきだと、彼に視線を落としたが。
目を丸くして見上げてくる大河の瞳は……

「……本気か?」

すでに傷つけてしまったことを、物語っていた。

「えっと…あ、いや、違う…」

慌てて取り繕うとしたものの、大河がするりと実の下をすり抜けて。

「大河、ごめんあの…」
「ごめん、実」

背を向けて、ポツリと言われたのは、意外にも謝罪の言葉だった。

「大河?」

とりあえず向き合って話がしたくて、その背に手を伸ばしたが…
寸でのところで、大河は立ち上がってしまった。

「俺のせいで…俺がアホやから、なんかいろいろぶち壊しやな」
「……大河、あのさ…」
「実がせっかく、今まで上手くやってきてくれたのに…」
「大…」
「ミキとのことは、いろいろ間違ってた自覚あるけど……それでも俺は…やっぱアイツのこと、大切な仲間やと思ってる。俺、頭悪いから、そのへん割り切れへんわ。
でもそのせいで実に嫌な思いさせて、俺やっぱ最低やな」

その肩が震えているように見えて……このままでは、また悪い方向に流れていくのは確実。
分かっているのに、傷ついたその背中に、実は体が動かなかった。
逆ギレしてくれた方がよっぽどいいと、思ったところでもう遅い。
自分が風見と昨日会った件だって、どんな会話だったか特に報告していない以上、少なからず大河は不安に思っていたはずなのに。追い討ちをかけてしまった今の発言は、それなりの破壊力だったに違いない。大河がもともと気にしていた部分を、普段はそれを肯定してやっていた実本人が、否定したのだから。
だから何か言わないと……そう思えば思うほど、焦って言葉は出てこない。
とりあえず引きとめようと、実が立ち上がると同時に、

「ごめん」

それだけ言うと、大河は部屋を出て行ってしまった。

「ま、待て。ちょっと……大河っ」

慌てて追いかけたものの、目の前でパタリとドアが閉まって。

『あれ?大河、何してんの?』

ドアの向こうから幸田らしき声が聞こえて、実はドアを開くことができなかった。
どうやら隣の部屋は幸田のようだが、この様子では今まで彼もまたどこかの部屋へ行っていたことが伺える。

『ああ、ちょっと寝れなくて、実に話し相手してもらってた』
『へー。俺は幸樹んとこ行ってビール飲んでた。お前らも呼べば良かったな~』
『アハハ、そうなんや』

ドアを隔てた大河の声は、いつもの明るい声。

「アホは俺もやんか…」

やっぱり冷静に話してやれなかったことを、実はひどく悔やんだ。


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