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「Old flame(実×大)」
7:陸の告白

Old flame 7-3

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実は仕方なく、大まかな流れを陸に話した。
大河から冴島との過去を打ち明けられ、その上で友人としての付き合いの許可を求められ、拒否をしたこと。
冴島との過去を何も話してもらってなかったせいかカッとなって、冷静に話してやれず、追い詰めるようなことを言ってしまったと。きっとそれが、大河を傷つけたのだと。

「言ってはいけないこと、言ったと思います」

それがどんな言葉かは、さすがに言いづらくて。
そして陸も、

「ふうん」

そこまで深くは訊いてこなかった。

「でも実は、別に間違ってへんで?大河が特殊なだけや」

ついでにそんなフォローまで入れてくれたが。

「まあ、とはいえ、人には地雷ってあるからな。それを分かってるのに言ったのは、マズったかもな」

苦笑いをしながらも、そこだけはさすがはブラコンだけあってチクリと言ってきた。

「大河は涼太さんと俺のこと、気にしてたから。その辺もあったと思います」

自分と違って大人な風見が、実に好意を持っていたと知って。2人がお似合いだと、きっとそう思っていて。それでも実を信じて、友人としての付き合いを認めてくれたけれど……

『どこまでアホやねん。そこまでやと思ってへんかったわ』

自分の子供な部分を指摘された瞬間に、きっと不安が膨らんで。
そこに、とどめを刺す言葉―――

『さすがに疲れるわ、お前みたいなヤツ…』

あんなこと、言うべきではなかった。
たとえ風見の件を抜きにしたって、絶対に……

「今日も、イベントの後、もしかしてそれで2人は居なかったんか?」
「はい。ミキと、大河が2人きりで話してて。また揉めてしまって…」
「そっか。まあアイツも、大河にとって安らぎの存在といえばそうやからな」

申し訳なさそうに笑いながらも、それが真実なのだと陸はしみじみと呟く。

「俺が、冴島とのことで口を出してきたって、アイツから聞いた?」
「陸さんが?いや、そういったことは特に…」
「なんや、そこははしょったんかいなアイツ」

そこ大事やろ……と陸は溜め息を漏らした。

「まあ仕方ない。俺がチクってやるわ」
「はぁ…」
「アイツらが付き合ってるって、俺が気付いたのは……いつぐらいやろ。恐らく、まだ2人が始まって間もなかったとは思う。稽古現場に居る2人の空気が、変わっていってな。お前みたいに一緒に稽古出来る頻度が少ない上に一緒に出来ても限られた時間とかやと、気づきにくいかもわからんけど。頻繁に見とるとな、けっこう変化を感じたっていうか」

さりげなく冴島が大河との距離感を詰める瞬間があり、それが少しずつ増えて。そして何より、稽古が終わると必ず冴島が大河を誘う姿が、独特な雰囲気だったと。

「冴島は変に頭がええというか、自然に、大河と自分だけの空気を作ってて。あれはホンマ上手かったわ。あの2人どっちとも仲ええはずの幸樹すら入れへんかったからな、最終的に。
でも冴島の行動だけやなくて、いままで何も気付いてなかったはずの大河の表情が変わったことで、俺は気付いた」

これまで平気で冴島に"ミキ大好きや~"と言って笑っていた大河が、一切その言葉を口にしなくなったことが、逆に真実を気付かせる結果となった。

「周りの人間たちも、アイツらおかしいんやないかって、気付き出して」

そして舞台が終わったあの日、翌日陸が事務所の駐車場で見かけたのは、大河を送り届ける冴島の姿。
近くでそれを困った顔で見ていた幸樹を後で呼び出し、前夜の状況を聞いて……

「さすがにヤバいなと思って、大河を呼び出した」
「問いただしたってことですか?」
「ああ。アイツから聞き出した上で、忠告しようと」
「忠告?」
「そ」

―――別れさせるつもりやった

目を逸らさず、陸はそう断言した。


『アイツはアカンで大河』

2人の関係の変化を感じ取った陸は、大河を呼び出して。

『これは、事務所側の立場としてってことやないぞ。兄貴としての忠告や。お前らの関係は必ず破綻する。今なら間に合うから、別れるんや』

付き合っていることを大河に白状させた上で、そう言った。
2人が、同じ気持ちではないと知っていたから。

「大河が流されただけやって、俺はわかってた。その気持ちが変わることはないやろうってことも、もし変わるとしたらそれすら冴島に流されての結果やって」

それもひとつの恋愛の形かもしれないが、しかしそれは、大河が自分が流されたことを自覚した瞬間に破滅する。そのときはきっと、元の関係すら崩れるだろう。そんな脆い恋愛は、してほしくなかった。

「それで、アイツは何て?」
「嫌やって、はっきり言った」
「……え?」
「でもそれは、好きやから別れたくないってことじゃない。もしそうなんやったら、俺だって反対なんてしない。いくらでも応援してやった」
「なら…何でですか?」
「はっきり言ったよ、大河も」

『ミキを失いたくないから嫌や』

苦し紛れの言い訳を並べるでもなく、"好きだから"とその場限りの嘘をつくでもなく、そうはっきりと。

「アイツさ、あんな風に毎日笑ってアホなヤツやけど、逆に言えば、笑って全部誤魔化すヤツやん。俺にも、何も言わない。言ったらいけないと思ってるんやろな……」
「いけない…?」
「俺はな、アイツには人一倍厳しくしてきた。今はそこまで口出さなくなったけど、昔はめっちゃうるさく言うてきた。もちろんそれは、実もみんなも気付いてたとは思うけど。
アイツが周りの2倍も3倍も力がなければ、俺は同じ扱いはしないし褒めない。そうじゃないと、ちょっとしたヘマでもボッコボコに言われるからな。"兄貴がプロデューサーやからアイツは甘やかされとる"って。お前らみたいにアイツを知ってる人間はそんなん思わなくても、世間はそう見る。さすがに最近はそういう声も減ったけど、昔はちょっとしたことで言われたやん?」
「………」
「だから昔の大河って、どこか追い詰められてた感があってな。センスはええのに、なんか空回りすることが多くて。苦しかったと思う。でもこればっかりは俺がどうしてやれるもんでもなくて、大河本人が乗り越えるべき壁やし。
直希と知り合ったことでだいぶ楽になったようにも思えるけど、直希やって最初はタレントとして全然で、余裕なかったやろ?大河としては、やっぱり先輩として年上としてメンバーとして、結果的にはユニットに誘ったことになる張本人として、責任もって面倒みようって気持ちが先行してたのか、自分がしっかりしてへんとって感じやったし」

実や誠ら先輩たちに甘えているように見えて、大河にはいつでも張り詰めた糸のような緊張感が漂っていたと、陸はそう見ていた。
そしてそれは実ら仲間たちも感じていたことだったため、実も陸の話を黙って聞き続ける。

「そのうち幼馴染のハルがユニットも事務所も出ていって。いまいち仕事はパッとせえへんし俺からは厳しく言われっぱなしやし、行き詰まったような顔することも増えて。実たちも心配してくれてたよな、あの頃。
そういうとき冴島と出逢ってさ。地元も一緒で共通の話題も多いし、優しくて穏やかでのんびりしとる冴島と居ると、普段の追い詰められる生活を忘れられたんやろな。息抜く場所が出来たって感じやったわ。
そうやって自分を理解してくれる冴島を、大河は失うのが怖かったんや、結局。誰でもさ、心の拠り所を失うのは怖いよな」

しかしだからこそ陸は、冴島という存在を、大河には大事にしてほしかったのだ。その場の空気に流されて、取り返しのつかない関係になってほしくなかった。

「冴島には、できればずっとええ仲間の関係でいてほしかったけど…まあ、そんなん言われてもなぁ?確かに冴島には酷な話やったな。好きなんやもんな?どんな形でもええから何とか手に入れたい、可能性が欲しいって思うのは当然やんな?」

冴島の気持ちが真剣だと分かるほど、陸も間に入りづらくなって。別れを拒否した大河を、黙って見守るしかできなくなっていた。

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