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「SS」
実×大河

come upon

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【come upon】

<実のマンションにて>
※時期としては、『startling news』から1か月後あたり(年明けあたり)のつもりで書いています。

ある朝、実のオカンが京都から突然上京してきました(恐らく、オトンと喧嘩)。
当然のように実の部屋にお泊りしていた大河が、コーヒーとか淹れてます。
オカンは大河と何度も会ったことがあるし息子コンビが可愛がっている弟分ということも知っているので、朝っぱらから大河が居ても何も疑うことなくコーヒーをもらってます。
ダイニングテーブルで並んでおしゃべり中。といっても、もちろんオカンの話し相手は主に大河。ダルそうに面倒くさそうに母の父への愚痴を適当に聞き流している実(実際は大河との甘い朝を邪魔されて不機嫌)にオカンは「まったくこの子は…」と溜め息。
その冷たさじゃ女と続かないはずだと、実の恋愛遍歴をネットニュースやワイドショーでそれなりにチェック済のオカンは、ふと、思い出します。

「そういえば、誠がこの前、近いうち紹介したい人が居るって言うてたんやけど」
「ああ、そうなん?(オトンの愚痴はもうええんかな)」
「あんた知ってる?」
「は?何で俺がアイツの恋愛事情まで知ってなアカンねん、気色悪い(ホンマは知ってるけど)」
「大河クンは知っとる?」
「えっ……あ、いやぁ…ど、どうすかねぇ(まさか涼太さんやとは、言えへん)」
(↑結局こっちの世界でも誠とくっついた風見)
「あ、知ってるんや?なぁ、どんな子?同業者?カワイイ?美人?優しい?ていうかエエ子なん?」
「えっと…どういう仕事してるとかは、誠さん本人に聞いた方がええかと。と、とりあえず、素性がしっかりしてるのは確かですし、可愛くて美人で、優しくて、エエ人やと、思いますよ。めっちゃ素敵な人です。俺も大好きっていうか…(うん、嘘はついてへん)」
「そうなん?よかった~。それ聞いてホッとしたわぁ。大河クンがそう言うなら安心やわ。ほら、ウチの子たちって言葉が足りひんとこあるやろ?あの子の言い方じゃ相手の子が全然想像つかんくてね」
「あ、あははは…」

何とかこの話題が終わってくれないかと大河は愛想笑いを繰り返す。
実は、大河の"涼太さん大好き"発言に憮然とした表情。かつては実の元恋人かもしれない、と風見に対して脅威を抱いて不安そうな顔をした時期もあった大河だけれど(『old flame』参照)、疑惑が晴れた今となっては以前のように風見に無邪気に懐いているし、風見も大河のことをいたくお気に入りだしで、寧ろ今までより仲良しな2人が何となく気に食わない。
とはいえ、あの風来坊な風見がようやく1人の相手に決めたことは、友人である自分にも喜ばしいことでもあるので。

「まぁ、相手の親にはそっこーバレたから、すぐに挨拶行ったらしいけど。それが好印象やったみたいで、もう大歓迎されとる状態らしいで。交際してすぐに挨拶来るなんて、真剣に考えてくれとる証拠や、みたいな?名前の通り誠実やねって。"実"の方は俺の名前やってのに」

風見から、先日延々とされた惚気話を、でも聞いていて少しも嫌ではなかったその話を教えてやれば。

「何や、あんたも知ってるんやないの」

やっぱり、と目を細めたオカンから、

「あんたもそろそろエエ子居らんの?」

今度は実に矛先が来る。
ギクリとする大河。
しかし実は相変わらず平然とした表情のままで、少しも動揺することなく、

「居るで」

あっさりと答える始末。
オカンの目がキラリと輝く(←ミーハー母)。

「え?何や、居るんかいな。なら連れてきなさい」
「だから連れてきてるやん」
「え?」
「ここに」(と、大河を指差す)

「―――!!!」(←大河、衝撃)

「あんたなぁ、冗談もほどほどに…え?」
「ん?」
「ホンマ?」
「ホンマ」
「大河クンなん?」
「大河くんなんやわ」

その証拠にホラ、と、大河の右手を取り自分の右手も上げて、薬指に光る(ほぼ)揃いの指輪を見せる実。

「……////」

大河は、唖然としつつも正直に赤面した。

「………」

実のオカンも、唖然と大河を見つめる。

「だから、孫は無理やわ」
「…あんた…」
「ついでに、誠んトコも無理やで」
「え?」
「まあ俺らの場合は、こいつが気合で大体のことできてしまう奴やから、もしかしたら気合で…」
「だぁぁぁ~~~!!ちょっとちょっと実、ストップ!!」

慌てて大河は、その空気を叩き割るかのように叫んで実を制した。

「みみみみみ、実、い、嫌やなぁ。そんな、アハッ…」
「何や。ええやろ別に。ホンマの…」
「わ~わ~わ~!!!やめろやっ!!」

大河は実の口を両手で塞ぎながらそう言い放ち、実のオカンに顔を向けた。

「あ、あの…ちょっと実、おおお、おしゃべりが過ぎるかと」
「それ言うなら"冗談"やろ」
「ああ、そうそう!冗談が過ぎるかと…ってアンタは黙ってろやっ」
「何やねん」
「えっと……(オカンに視線を向けて)その、すいません。あの…」
「大河クン?」
「あの…はい」
「ホンマなん?冗談なん?結局どっち?」
「えっと……」
「このコと付き合うてんの?」

息子たちと同じ切れ長の目でジッと見つめられ、大河は何も弁解できなくなった。
実の口を塞いでいた手も離し、姿勢を正して彼女と向き合う。

「……あの…だ、ダメですか?」
「は?」
「僕さすがに、気合でも孫は無理やと思うんですけど、やっぱそれだとご両親的には…」

すると彼女がキョトンとして。
そして次の瞬間、

「アハハハハ…!」

豪快に笑った。それは、誠の笑い方によく似ていて。

「あんた、やっぱり可愛い子やねぇ」

身を乗り出して頭を少し乱暴にグリグリと撫でてくるのもまた、誠に似ている。どうやら実の性格は父親似なのかもしれないと、そういえば数回会ったことのある彼の父は無口でクールででも笑うととても優しい人だったと、大河はぼんやりとそんなことを考えた。

「ねえ、怒らないから言ってみなさい?このコが好きなん?」

涙を浮かべて笑いながら、オカンが"このコ"と実を指差す。

「は、はい…」
「このコは?あんたのこと大事にしてくれてる?」
「え、あ、は、はい…」
「何でそこで"はい!"って即答せえへんねん」

実がすかさず突っ込むが、

「あんたは黙ってなさい」

母にぴしゃりと言われ、黙り込んだ。

「実に上手いことたぶらかされたわけではないんやね?」
「た、たぶ…?」
「何や、アンタがたぶらかしたん?」
「いや、そうやなくて。あの、た…たぶらかすって、何ですか?」
「は?」
「ブハッ」

思わず実が吹き出した。

「そうかそうか。たぶらかす、を知らんかったかぁ」
「…方言か?」
「違うわ。アハハッ。そうやお前、日本語ちょっと苦手やったな?」

あれだけいつも饒舌に捲くし立てるくせに意外な言葉を知らない大河が可愛くて仕方なくて、実が目を細めて笑う。

「お前の兄ちゃんが、千田にやったようなことや」
「は?」
「まあ知らんでええよ。俺らには関係ない言葉や」
「??」
「なあオカン、こういう奴やねん。勘弁してやって?」

まだ可笑しそうに笑う実が、大河の肩を抱いて。
そんな実の表情や言葉があまりに幸せそうで、母にはいろいろ気付かせたようだった。

「その子が、アンタが選んだ人なんやな?」

念を押すように言うと、

「そうや」

実は間髪入れずに答えて。

「ええやろ?」

断定の意味を込めて問う。
すると彼女はしばらく大河をジッと見てから、

「確かに」

ププッと吹き出して。

「孫できんくても、アンタで十分面白そうやな」

実の若干失礼な口調については、母譲りのようだと大河は思った。

■■■
「come upon」:…に出くわす=鉢合わせる
ということで。実ママと"出くわした"、実の爆弾発言と母の意外な反応という衝撃に"出くわした"大河の、めっちゃ疲れであろう朝の出来事でした。きっとこの前の晩は、実と別の意味で疲れていたんでしょうにねぇ( ̄― ̄)
SSにしてはちょっと長かったのですが、短編に入れるほど文章構成ができていないので、こちらに収録しました。いかがでしたでしょうか。
直希の姉と妹、安藤兄弟のパパ、立花兄弟のママ、と、家族がチラホラ登場してきますが。基本彼らは同性愛容認ですね。親兄弟なら反対する人間が居そうなものの、このブログにはいっさい登場しません。ええ、しょせん私の脳内の妄想世界なのでやりたい放題です。いっそのこと、この世界では同性婚も当たり前にしちゃおうかと思うほどに。
さて。風見先輩、こちらでは実に告白歴があったりめっちゃ噂されてたりで波風立ててくれたこともありましたが、ちゃっかり誠とくっついちゃったようです。『old flame』からこのお話まで1年弱ですので、どこかのタイミングで誠の優しさや男気にヤられちゃったってことでしょうね。しかも風見の親に挨拶済。さっすが誠。

次回作については、『新シリーズ開始のお知らせ』をご確認ください。

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