FC2ブログ

「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
1幕-6:彼の伝説

PERFECT BLUE 06-04

 ←PERFECT BLUE 06-03 →PERFECT BLUE 06-05
それからほとんど間を置くことなく、

「谷原!!」

6人の元に、諏訪がやって来た。中庭で谷原が絡まれているのを目撃した富永が、慌てて諏訪を呼んだのだ。"ついでに"呼ばれた串崎も、もちろん一緒だ。
しかしすでにそこには、DOQと石原、谷原しかいない。3年生はすでに姿を消していた。

「大丈夫か?」

谷原に近寄り、諏訪が訊ねる。さきほどの皆藤の行動に恐れおののいていた谷原は、コクコクと頷くことしか出来ない。しかし、自分を助けてくれたことは事実であるから、

「みんなが来てくれて、それで…皆藤くんが…追い払ってくれた」

と、やっとのことで打ち明けた。

「「「え……?」」」

富永と諏訪と串崎は、驚いて皆藤を見た。そして、木下たちDOQに目をやる。木下も真鍋も桜沢も、石原も、コクンと頷いた。
しかし皆藤は、

「言っただろ。俺は退屈してたんだよ」

冷たく言い捨てるだけで、

「でも、あれじゃ退屈しのぎにもならねぇ」

そう言い残し、彼はさっさとその場を後にしてしまった。
風のように皆藤が去ってしまった後、木下がボソッと呟く。

「退屈してたようには思えないけど……」
「?」

呆然と皆藤の後ろ姿を見送っていた諏訪は、木下に顔を向ける。すると木下は、真鍋や桜沢や石原に「な?」と同意を求めるように視線を移していった。同意を求められた3人は、やはりコクンと頷いている。

「どういうことだ?」

諏訪が尋ねると、桜沢が先ほどの状況を説明した。

「アイツ、さっきまで写真撮ってたらしくて、裏庭から出て来たトコやったんよ。俺らもちょうどグラウンドから中庭に行こうとしてたトコで、互いにかち合ったいう感じ?そしたら、谷原が野田たちに絡まれてんのが目について。で、合図するでもなく、俺らと同じようにアイツも、谷原んトコに歩き出して……」

皆藤は、さきほどまで写真を撮っていたようだ。確かに、先ほど立ち去っていくときに、ベンチに置いておいたらしきカメラを手に帰って行った。持ち上げるときに落としてしまったのか、レンズカバーが下に転がっている。

「アイツ、他人からの頼みだと手助けとかしないんだけど、自分からなら助けるんだよな…」

そこは徹底してるんだ。と、木下がしみじみと口にした。

「どういう意味?」

レンズカバーを拾い上げながら諏訪は、木下に訊ねる。

「アイツね、他人から"助けてくれ"って頼まれても、絶対助けねぇの。"助けてやりたいならお前ら3人で行ってこいよ。俺を巻き込むな"って言われる。でも、誰かがこうやって絡まれてたりするのを自分が見かけると、絶対助けるんだよ。
たぶん、人を信じてないんだよな、きっと」
「信じてない……」
「うん。"助けてくれ"とか、"助けてやろうよ"とか、そういうのが罠かもしれないと思ってんだよ。その代わり、自分が見かけたら助けてやるんだ。見て見ぬふりは、絶対しない。決して冷たいだけのヤツじゃねぇし、何かこう、芯が一本通ってるっつうか。だから俺は、アイツとつるんでるんだよね」

もちろんワケわかんないし、何考えてるのか読めないヤツだけど。ニッコリ笑い、木下はそう答えた。
すると、桜沢も同調するように口を開いた。

「俺も…入学してすぐぐらいのとき、野田たちに絡まれたことがあって。皆藤に助けられたんよ」

去年の春、目つきが悪くて服装が派手だという理由だけで野田たちに絡まれたのだと、そこに皆藤が現れて今のように追い払ってくれたのだと、桜沢は打ち明ける。

「そん時皆藤、"アイツらが嫌いなんだ"って、"別にお前を助けようと思ったわけじゃない"って言うてたけど……。でも俺に、"大丈夫だったか?"って訊いてくれたんや。声に感情は無かったけどな。3人相手に1人で立ち向かって、しかも一切、手とか出さずに。なんか、めっちゃカッコええと思った」

そんなことがあったから、自分は皆藤に付いて行く決心をした。桜沢はそう続ける。
そして、ふと何かに気付いたらしく、桜沢は木下と真鍋に顔を向けた。

「そういえば、さっきの"アイツみたいに目ぇ見えなくさせる"って……前に来人とナベが言うてた、2年前の事件のこと?」

すると木下は、「ああ、多分……」と頷いた。しかし、どこか腑に落ちない顔。それは真鍋も同様だった。
桜沢の言葉に、串崎も富永も谷原も石原も、曖昧な顔をした。しかし事件のことを良く知らない諏訪は、木下と真鍋に尋ねる。

「2年前…一体何があったんだ?」

すると木下と真鍋が、2年前の出来事を話しだした。

「ブリストがある駅の近くでさ、事件があったんだ。仕事終わりの会社員が、駅の近くの公園でボコボコにされて……。通りすがりの人が見つけて通報したらしくて、警察と救急車が駆けつけたんだけど、駆けつけた時には被害者以外は誰も居なかったらしい。バットも公園のゴミ箱に捨てられてて。手袋をつけてたのか、指紋も採取できなかった。
ただ、すぐ傍に皆藤のバイクがあったらしくて……」
「……え?」
「ひと気のない公園だったし、皆藤以外に考えられないってことになって。事件の翌日に警察が学校まで来て、皆藤を連れてったんだ」

木下の言葉が、諏訪の心に突き刺さる。

「被害者の会社員は命は取り留めたんやけど、顔面をバットで激しく殴られとって、失明してしもうたんよ」
「失明…?それで、その人は、何て?皆藤がやったって?」
「いや、その辺は俺らも知らない。俺らは他のクラスだったし、皆藤が何で連れてかれたのかなんて学校が言うわけないだろ?ただ、ニュースになるような事件だったし学校側もバタバタしてたから、何となく俺らの間にも話が漏れていって知ったんだ。でもそこで知ったのはニュースでやってた事件がウチの学校に関係してるってことと、ニュースで言われてた"容疑者の少年A"ってのが皆藤だったってことぐらいで。
ニュースによるとさ、その被害者、事故当時の記憶が全く無いらしいんだ。だからきっと、誰にやられたのかも覚えてないんじゃねぇかな」
「じゃあどうして、皆藤って決め付けられたんだ?いくらバイクがあったからって、それだけじゃ証拠には……」
「アイツが、自分で認めたんだよ」

思いがけない言葉が、木下から発せられる。

「それまでのいきさつは知らないけど、最終的にはアイツが、"俺がやった"って言ったらしい。
でも宇賀は、皆藤がハメられたんだって言ってる。誰かに裏切られて、罪をきせられたんだ、って……。きっとそのことに絶望して、自分で罪を被ったんじゃないか、って……」
「……誰か…に?」
「アイツは、校内で流れてるとおり、ブリストで相当幅きかせてたらしいんだ。グループのボス的なポジションだったっぽい。
それなのに、ボスのアイツがグループ抜けて更生したわけじゃん?妬まれてたんじゃないか、って。昔のアイツの仲間を調べるべきだって宇賀は言ってる。
でも、ブリストの人間なんて元々身元不明なヤツが多いだろ?だから、結局どうにも出来なかったらしいよ」
「………」
「3年の野田のグループいるだろ?野田が、ブリスト時代の皆藤を知ってるんだ。皆藤に潰されたチームにいたらしい。宇賀は、野田を疑ってる。アイツが何か知ってるんじゃないか、って……」

関連記事
スポンサーサイト



↓ランキングに参加しています。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL恋愛小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png SS
総もくじ 3kaku_s_L.png Turning point(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 悪魔たちの狂想曲(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 立ち入り禁止(誠×風)
総もくじ 3kaku_s_L.png Old flame(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 最愛2(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 最愛(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png COOL(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 女は災い(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png 交差点(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ 3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 【あとがき・雑記】
総もくじ  3kaku_s_L.png SS
総もくじ  3kaku_s_L.png Turning point(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 悪魔たちの狂想曲(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 立ち入り禁止(誠×風)
総もくじ  3kaku_s_L.png Old flame(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 最愛2(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 最愛(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png COOL(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 女は災い(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png 交差点(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ  3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 【あとがき・雑記】
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【PERFECT BLUE 06-03】へ
  • 【PERFECT BLUE 06-05】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【PERFECT BLUE 06-03】へ
  • 【PERFECT BLUE 06-05】へ