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「Stranger(直×大)」
3:独占欲と自覚

3-3

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驚いたのは一瞬で、直希もすぐに目を閉じて彼のキスを受ける。
触れるだけの軽いキスだったが、それすら大河からしてくれるのはとても貴重なのだ。
しかしすぐに、軽いリップ音と共に唇が離れていき、

「アホやな」

頭を撫でながら、大河が笑った。

「ホンマにお前って、男前なのに残念な奴や」

さっき電話でも言ったけど、と。電話のときと同じ優しい声で、そして今度は優しい眼差し付きで。
きっとさっきの電話でもこんな顔して言ってくれていたのかと、それだけで直希は胸が熱くなる。こんな顔をされたら誰だってたまらない。
それなのに、

「どっちかというと、俺の方が危機感感じるべきなのに」
「大河が?何で?」
「いや、どう考えてもそうやろ。バレンタインにお前と俺が並んで、チョコレートあげたいコ並べさせてみ?お前、圧倒的勝利やで」

来年やってみるか?と楽しそうに笑う大河は、やっぱり何も分かっていないと直希は思う。

「それ、女の子限定だろ?男女並べさせてごらんよ、いい勝負だ」

だから厄介なのだから。
彼を誘惑したがる男女の比率が同じだからこそ、彼が誰と会っていても気が気じゃないのだ。
それなのに、やっぱり大河は呆れたように笑うだけで。

「野郎にモテても嬉しないわ」
「俺、思いっきり"野郎"ですけど」
「知ってるわ。こんなオンナ嫌やわ」
「じゃーどういう意味だよ」

大河がまったく本気にしてくれないから、直希が思わず口を尖らせると、

「お前は特別やろ」

そう言って、またチュッとキスをくれて、

「男とか女とか、そういう次元やないやろ」

両手で顔を挟んだまま、軽いキスを何度も唇に落としていく。
角度を少しずつ変えて繰り返しながら、直希の顔から手をずらして、首筋を指先で優しく撫でて。反対の手は直希の頭の後ろにきて、髪の中に指を入れてきた。
そのまま大河が、だんだんと深く重ねてくる。
角度を変え、濡れた音をさせて。重ねてくる…何度も。
大河が直希の唇をペロっと舐めて、ゆっくりと舌を入れてきた。
口直しに飴でももらって舐めてきたのか、ふんわり香る、甘い匂い。その甘い舌を味わうように、直希も自分のものと絡ませた。
大河の舌が深く入ってきて、もっと絡み合う。

「…んっ」

大河が主導権を握るキスなんて数えるほどだが、やっぱり彼はキスが上手いと直希は思う。頭の中が痺れてきて、自分の体に熱が集まってくるのが分かるから。
だから気付けばたまらなくなって、直希は大河の体をめいっぱい抱き寄せた。

「なあ、直希」

唇を離した大河が、自分の名前を呼んで。
まっすぐに、真摯な視線を向けてくると、

「心配なのはお前だけやないで?」
「え?」
「惚れた相手の知らない一面見て、心配になるのはお互い様や」

眩しそうに目を細めて、照れ臭そうに笑う。
惚れた相手、だなんて…。
それだけでもう、嬉しくて、しょうがなくて。
その笑みに吸い込まれるように、直希は思い切り自分の唇を重ねた。
大河の濡れた唇を噛みつくみたいに奪い、舌を絡めれば、

「……っ……ん…」

声にならない声が、大河から漏れ始める。
そして自然に、背中に回される腕。その先にある指先に少しだけ力が入って、シャツを握りしめてくる。

「大河」

僅かに唇を離し、その名前を呼んだ。

「…っ…ん…?」

閉じていた瞳がゆっくりと開き、潤んだ瞳が直希を映し出す。

「大河がよくても、俺はさ、嫌だよ」
「……え?」

瞬きをひとつしてぼんやりと見つめてくる大河の頬を、直希はひと撫でして、

「誰かが、俺の知らない大河の顔を知ってるのは、俺は嫌。なんとしてでも引き出したくなってくる」

体を起こし、座っている彼の目の前に移動すると、片膝はソファに乗り上げるようにして体を近づけて見下ろす。
それを目で追う大河は自動的に見上げる形になり、そんな彼の顎を直希は軽く持ち上げて、

「もちろんそんなこと無理だろうけど、もし今日みたいに知ってしまったら、知った以上は、いつか必ず、自分の前でもさせてやろうって思うよ。
ああ、もしくは…」
「?」
「二度と誰にもそんな顔させないか」

どっちかだね、と。そのまま軽くキスを落とした。
たとえば自分が見ることのできない、大河が誰かを抱く顔や仕草は、この世からも大河の記憶からも封印してやろうと本気で思う。
"落としたい"と思う相手に勝負をしかける彼の言動も然りだ。

「俺が大河の知らない顔を知る度に、大河って別の顔を増やしてそうだけどさ。もぐらたたきの要領でしらみつぶしに狙い撃ちしていくから、俺」
「……お前、なかなか怖い奴やな」
「あれ、今ごろ気付いた?」
「……やっぱやめとこうかな」
「残念」

もう手遅れです、と直希はまた唇を塞いだ。
今度は、深く、深く……
大河がまた直希の背中に腕を回して、背中を撫でるようにしてしがみつけば、
それに応えるように、直希がやわらかく舌を吸った。

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