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「★PERFECT BLUE:別シリーズ【完結】」
2幕-12:幼馴染と邪魔者

PERFECT BLUE 12-06

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「え……?」

言葉の意味が分からず、浜島が顔を上げる。
真鍋も抱きしめていた腕を一旦離し、浜島の左手を握った。ケガをした指を、親指で軽くさする。

「言うつもりなんてなかったけど、でもそのせいで郁人を傷つけた責任が、俺にはある。だから、正直に言う」
「…ナベ?」
「たぶんお前、めっちゃ引くと思うけど…とりあえず聞いて」

今からでは、遅いかもしれない。
しかし、もうこれ以上、浜島を突き放せない。
本来なら自分がしてやりたかったこと全て、もうこれ以上、皆藤に持っていかれたくない。
それに、自分が意地を張っている間に、またこんなことがあったら。もし間に合わなかったら。そう思えば、もう……

「皆藤の、お前への態度が、ホンマはずっと気になってた。気に入らなかった」
「?」
「アイツがお前にしてやることは、ホンマは俺がすることなのにって。やらなかったのは自分のくせに、勝手に嫉妬して、焦って」
「え…」
「お前に、惚れてるから」

3年越しの想いは、覚悟を決めたとはいえ、少しだけ真鍋の声を緊張で強張らせた。
浜島の反応が怖かったが、これは自分なりのけじめなのだからと、真鍋は自分を戒める。

「お前と東京で再会したこと、ホンマはめっちゃ嬉しかった。道を外れてた俺を見捨てなかったお前だけは、大切にしたかったんや。
でも、どうしても俺は悪ぶるばかりで素直になれなくて。お前を巻き込みたくなくて」
「………」
「そのくせ、気がつくといつもお前のことばっか考えてた。それが"好き"って気持ちやってこと、ホンマは気がついてたけど、否定したくて。お前の目を正面で見るんが怖くて、ずっと避けてた。
お前のこと、下心で見てる自分なんて、幼なじみ失格やから。俺はアホやから、気持ち隠して友達面するなんて、出来なくて」
「………」
「正面きってお前のこと見たら、何するか分からへんかったから…。さっきの皆藤みたいに、襲ってたりしたかもわからへん」

一度告げてしまえば今度は、これまで隠してきた真実が次から次へと言葉となって、真鍋の口から出て行く。
そんな、つらつらと自分の気持ちを告白する真鍋を、浜島は黙って聞いている。
浜島の表情を見るのが怖くて、真鍋は思わず俯いてしまった。

すると―――

突然、バチンッという音と共に、真鍋の頬に衝撃が走った。
それが、浜島からの平手だということを、真鍋は顔を上げて気付いた。

「………」

驚いて目を丸くする真鍋は、言葉が何も出ない。
浜島の顔は、怒りに満ちた色をしていて。

「アホかっ!」

第一声は、それ。
本気で怒る浜島も、真鍋は久し振りに見た。東京で再会して以来、初めてかもしれない。再会して以来ずっと浜島は、自分を心配そうに、哀しそうに見ていたから。
久しぶりに怒られたということと、久しぶりのそれが"激怒"レベルのものであることで、真鍋は思わずポカンとしたまま彼を凝視してしまった。

「い、郁人……?」
「何が"言うつもりなかった"やっ。人の気持ちも知らんで。
ナベのせいで、俺がどんだけ悩んだ思うてんねん。どんだけ眠れん夜を過ごした思うてんねん!嫌われて、迷惑がられてると思うて、俺は自分の気持ちずっと押し殺してきてたんにっ!!」

浜島は、先ほどまでのいじらしい態度から一変し、思いっきり怒鳴ってくる。おかげで、涙は完全にひいたようだ。
しばらく唖然としていた真鍋だが、彼の発言に、ふと気が付いた。

「……お前の、気持ちって?」

その言葉に、ハッとして浜島が顔をそらす。
真鍋は、彼の顔を強引に自分に向かせた。

「何や、お前の気持ちって……」
「………」
「言えや。教えてくれよ。頼むから」
「………」
「なぁって」

必死で、顔を覗き込む。
すると浜島も観念したらしく、自分に顔を向けさせてくる真鍋の手を勢いよく振り払って、

「俺も…好きなんやっ。ナベのこと」

俯きながら、吐き捨てるように言った。

「え……?」
「避けられても、迷惑そうにあしらわれても、無視されても、やっぱり好きで。どうしようもなくて……」
「……それ、ホンマか?」

あまりに意外なことを言われて、あまりにも自分に都合が良すぎる展開すぎて、真鍋には俄かには信じられなかった。
すると、浜島がゆっくり顔を上げる。その顔は何故か、ポカンとした表情。

「それも分からなかったんか。俺がナベを好きってこと、みんな知ってるのに。俺はてっきり、ナベも知ってて迷惑がってるんかと思うてた」

感情がすぐ顔に出ることを自覚している浜島は、自分の気持ちに真鍋が気付いているとばっかり思っていたのだ。気付いていて、避けられているのかと。

「ま、まさか。そんなん、全然……」

言いかけて真鍋は、気付いた。
浜島の気持ちから、全てのゴタゴタから、無意識に逃げようとしていた自分に。
彼の瞳を見れば、そんなこと分かったはずなのに。自分は、全てから逃げていたのだ。

「ああ、アホや……」

呟いて、ガックリと肩を落とす。
そんな真鍋の腕を、浜島がそっと掴んできた。そして、真鍋の肩に、コトンと頭を落とす。

「なあ、頼むから、気持ち誤魔化すために俺を避けんといてぇや」

哀願するような声が、真鍋の胸を苦しくさせる。
自分の身勝手で浜島は沢山傷ついて、悩んで、泣いていたのだ。それでもずっと、自分の前では必死で笑顔を作ってくれていた。

「俺、ナベに避けられることほど、辛いことない。こんな気持ちになるぐらいやったら、襲われた方がマシや」
「郁人……?」
「それに俺は、ナベにやったら、何されてもかまわへんから。それぐらい、好きやから…」

だから、避けんといて。すがり付いてそんな言葉を口走った浜島が、真鍋はたまらなく愛しくなった。
こんな彼を無理矢理襲うなど、自分には絶対に出来ない。出来るわけがない。

大切にしたい、自分の手で……

改めてしみじみと痛感した思いを胸に、真鍋は浜島の髪を撫でる。
顔を上げさせ、迷わず唇を合わせた。
それは触れるだけのキスだったが、きちんと感情は伝わったような気がした。

「……?!」

唇を話した途端、突然のことに驚いた浜島は目を丸くしたものの。
その後すぐに、笑顔で真鍋の首に抱きついて来た。
自分に向けられるのは久しぶりの、しかし本当はずっと望んでいた、真鍋の大好きな笑顔だ。

「ホンマに…俺でええんか?」

優しく抱きしめ返してやりながら念を押すように訊ねると、

「ナベやないとアカン」

大きく頷いた浜島が、そう断言する。
真鍋は自分も同じだという気持ちを込めて、今度は少し長めのキスを贈った。

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