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「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
2幕-12:幼馴染と邪魔者

PERFECT BLUE 12-12

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数日後。

「じゃあ真鍋は、大学進学希望ってことだな。服飾系にも興味アリ、と」

これまでの話を元に諏訪は、3つとも大学名の書かれた進路希望表の備考欄に追記した。
久し振りの進路面談。今日は真鍋だ。もうすでに30分以上喋っている。その殆どが、他の生徒と同様、進路以外の話。進路の話など、10分もしていない。

「うん。まあ、とりあえずは。オトンが、学費は心配するなって」

真鍋は頷きながら答える。離れて暮らす父に久々に電話をした際、進学について『お父さんたちのせいでお前に金の心配はさせない』と言われたのだと。

「カッコいいこと言うなぁ、父ちゃん。俺もそんなセリフ言ってみたいな」

諏訪がしみじみと言えば、真鍋は彼特有の軽い笑いを見せた、
真鍋は最近、こうして別れた父の話もしてくれるようになってきた。その中で諏訪が感じるのは、真鍋が父を心底嫌っているわけではないのだということ。父の女性問題が離婚の原因だったようで同じ男として軽蔑した時期もあったようだが、親としては良い父親であることを真鍋はしっかりと理解し、区別して考えられるようになってきたのだろう。

「志望校も、良いラインだよな。よし、これで進めていこう。でも、さっき話に出た服飾系っていうのも、俺ちょっと調べておくよ。興味あるものは全部選択肢に入れた方がいいからね。そっちに行きたいって思った時に、焦らなくていいようにさ。
じゃあ今日のところは、時間的にそろそろ終わりに……」

ペンでササッとメモ書きをして言いながら、ふと諏訪は顔を上げた。

「そういえばさぁ、真鍋」
「ん?」
「お前らって、やっぱり仲良かったんじゃん」

楽しそうに、真鍋を見つめる。
自分と誰のことを言われているのか、真鍋にはすぐわかった。何度か諏訪に、浜島の話題をされたことがあったから。

「まあな……」

少しバツが悪そうに、真鍋は笑う。自分がどんなに諏訪に心を開いていても、浜島のことだけは"関係ない"と言ってみたり、適当に話題を流し続けてきた自覚があるのだ。

「ホント、どうしちゃったんですか?真鍋君は」

からかうように、諏訪も笑った。
思い出すのは、つい最近、浜島から言われたこと。

『もう大丈夫です。心配かけてゴメンね、先生』

最近の2人の変化が気になっていた諏訪が、浜島と教室で2人きりになった時を見計らって真鍋の話題を出すと、彼は嬉しそうに笑ってそう言っていたのだ。
その笑顔が、とても幸せそうで。浜島に哀しい顔ばかりさせていた真鍋が今度は最高に幸せそうな笑顔をさせるなんて…そう思ったら、諏訪は何だか無性に真鍋を冷やかしたくなったのだ。

「何だか良く分かんないけど、自力で解決できたなら、それがいちばん。良かったな」

どうやら担任の自分の出番は不要だったようだが、そもそも子供の喧嘩に大人が口出すものでもないのかと、諏訪はおどけて見せる。
すると、

「自力、なんかなぁ……」

真鍋が、苦笑いをしながらそう呟いて。

「どっちかというと、皆藤の力っていうか…」
「え?」
「アイツのおかげで俺、素直になれたから」
「……へ?」

『皆藤くんが、きっかけをくれたのかもしれない……』

諏訪はふと、浜島が言っていた言葉を思い出す。
しかし浜島の場合は、その理由が上手く説明できないようでもあった。

『とにかく、俺たちが話し合うきっかけを、彼が用意してくれたのは確かやと思うんです』

だから浜島は、それだけ答えていた。
そして真鍋も、

「皆藤が、俺にチャンスくれたんや」

微笑んで諏訪を見ながら、同じようなことを言っている。

「おかげで俺、大切なモノを取り戻した」

真鍋の表情は、本当に晴れやかで。

「失くしたらいけない、絶対に自分が失くせないもの、手離したらアカンものを自分が手離そうとしてたこと、やっと分かった。もしもあのまま卒業してたら、俺きっと一生、後悔したと思う」
「真鍋……」
「ま、アイツらしい、トンでもない暴挙やったけど」

そう言って、真鍋は楽しそうに笑っている。
諏訪には皆藤がどんな行動をとったのかは分からないが、浜島も真鍋も口を合わせて言っておるということは、恐らくそれが事実なのだろうと感じた。皆藤が、2人の間を繋げてくれたのだろうと。

「皆藤に、感謝してる」

真鍋ははっきりとそう断言すると、立ち上がった。

「この話は、皆藤には内緒な。どうせシラきって終わりやでアイツ」

そんな真鍋に、諏訪も笑った。
皆藤は訊いても絶対に何も答えないだろうと、適当に流されるのがオチだろうと、そんな真鍋の見解は諏訪も同感だ。どんなに良いことをしたって、彼はいつでもクールで素っ気なく、そして何より照れ屋だから。

「言わなくたって、きっと伝わってるさ」

感謝の気持ちは、皆藤本人の気づかない心の奥で、きっと響いているはず。諏訪がそんな思いを込めて答えれば、真鍋も「そうやとええけどね」と言って出て行った。

「感謝してる、か……」

何気なく呟けば、諏訪は自然と笑みがこぼれた。


真鍋が教室に帰ると、浜島が待っていた。
他の生徒たちは、すでに帰っている。今日も、文化際準備は休み。ホームルームの後、浜島も生徒会の会議に行っていた。

「生徒会、終わったんか?」

真鍋が訊ねると、浜島が頷く。自分の机に座り、窓を眺めていたらしい。
真鍋も彼に近付き、隣に座った。11月の夕方5時は、もう真っ暗だ。

「待っててくれたん?俺のこと」
「うん。今日はナベも電車やって言うてたし、一緒に帰ろうと思ってさ……」

照れ臭そうに俯いた浜島に、真鍋は自然と笑顔がこぼれる。それからそっと、抱きしめた。

「ナベ…?」
「待たせてごめんな?」
「え?あー、なんや、大袈裟やって。ナベかてこの前俺のこと待って…」
「そうやなくて」
「??」
「3年も、待たせてゴメン」
「……」
「待っててくれてたお前を、放って帰るようなことしてたよな、俺。それでも郁人は、帰らずずっと待っててくれてたんやな。ありがとな」

きっといつか、ケンカしたり、傷つけ合ったり、泣かせたり泣いたり、そういう日は来るだろう。しかしそんな時、自分に嘘をついて、自分だけで結論を出して、余計に悲しませるようなことだけはさせない。置いてけぼりになどしない。真鍋は、固くそう決意した。
ケンカの後も、傷つけ合った後も、涙の後も……後には必ず、そのクシャクシャな笑顔を見せて欲しい。
これからもずっと、自分の側で……

「もう絶対離さへん」

呟いた真鍋の背中に腕を回し、浜島も無言で頷いた。
顔を見合わせ、2人で微笑みあった。


第13章へ進む

やっぱりの理由といいますか、真鍋の「浜島ガン無視事件」の解決編でした。
恋愛IQが低すぎる真鍋ですが、ようやく素直になりましたね。
浜島に関する発言の意味を、「男を抱く趣味はない」という言葉で遠回しに否定していた皆藤ですが、「じゃあ抱かれてはいるの?」と真鍋に深く突っ込まれてなくて良かったですねw 長期にわたる皆藤からの「浜島狙いドッキリ」に気づかない真鍋ですから、まぁそこまで気は回らなかったのでしょう。

それにしても……F組の生徒がメインとなると、本当に町田先生の出番が少なくなってしまいますね。主役のひとりなのに(^^;)
次章はまた、皆藤メインのお話です。町田も出てきますw

次回第13章は9/23(水) 6時からスタート予定です。


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