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「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
2幕-14:フラッシュバック

PERFECT BLUE 14-05

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プープー…という無機質な音だけが、木下の耳を打つ。

「クソっ!!」

電話を勢いよく切り、木下が立ち上がる。
それを、慌てて真鍋が止めた。

「おい、どこ行くねんっ!!」
「決まってんだろ!柊助けに行くんだよ!」
「お前、場所分かるんか?」
「そこら中探し回る」
「アホか!そんな当てのないことしてる間に、石原は死んでまうぞ!」

その言葉に、木下はハッとして動きを止めた。
"死ぬ"だなんて、周りから聞いたら大げさだと思うかもしれないが、野田たちならやりかねない。彼らが加減を知らない集団だということは、木下がよく分かっている。同じクラスだった頃、彼らに容赦ない嫌がらせを受けた自分なら。バイクを一台壊されたこともあるのだから。
特に野田は、本当に加減を知らない。他の2人が、時々怖がっていたぐらいに。それでも彼に背くと自分たちも何されるか分からないから、あの2人は野田の仲間に留まっているのだ。

「じゃあ、どうすりゃいいんだよ?!」

怒りの矛先を真鍋にぶつけるのはどう考えても理不尽なのだが、今の木下にはそうすることしか出来ない。
真鍋もそんな木下の心情がわかるのか、決していつものように自分までカッとなることはせず、何とか彼を落ち着かせようとしていた。

「お前、今日はバイクやないんやろ?それなのに、歩き回ってどうすんねん。場所も分からんと」
「だったら、どうすればいいんだよっ」
「とりあえず、冷静になれ。考えろ。アイツが居そうな場所」

先ほどまで座っていた机の上へと真鍋に引き戻され、木下は頭を抱えた。
何度考えても、野田の居そうな場所なんて分からない。ずっと彼を無視し続けた自分には、何も……。

「皆藤……」

桜沢が、ポツリと呟く。
木下は、ふと顔を上げた。真鍋も、桜沢を見た。

「アイツなら、分かるかも」

桜沢が、木下と真鍋に同意を求めるように、その可能性を挙げる。
すると真鍋もふと何かを思いついたらしく、小さく頷いた。

「確かにアイツ、ブリスト時代から野田を知ってるしな。入学した頃とか、あの事件の後とか、野田が皆藤を呼びつけてるトコ、俺何度か見たことある」

それは、木下も同じだった。皆藤が野田たちに呼び出されて、彼らに連れられて学校を出て行くところを、一度だけ見たことがあるのだ。あれは確か、彼が少年院から帰って学校に登校し始めて間もなくのことだった。
皆藤なら、野田の行動範囲が分かるかもしれない……そんな思いが、この場の雰囲気に流れ出す。

「それに、アイツ今日、バイクやし。皆藤に手を借りるしか……」
「皆藤どこに居る?」

真鍋の言葉を遮って、木下は彼に詰め寄った。
写真を撮っているのだから、中庭か裏庭か……あとは適当にフラフラしているはず。皆藤は今、何処に居るのだろう?

「分かった。とりあえず、手分けして探そう。荷物置きっぱやし、この校内に居る事は確かなんやから。
カメラ持っていったなら、写真やろ?中庭か裏庭か……とりあえず校舎内を撮るなんて考えられへんから、外のどこかに居るはずや。
見つかったらすぐに電話するから。な?」

木下が焦っているせいか、いつになく冷静な真鍋が、そう提案した。
桜沢も、「そうや、そうしよう」と立ち上がる。
そして、

「「俺たちも手伝う」」

富永と谷原が、声を揃えた。皆藤に声を掛けるのが躊躇われるとか、そんなことを言っている状況ではない。石原の安全が掛かっているのだから。
見つけたら彼を引き止め、すぐに連絡。それを確認し合うと、5人は揃って教室を出ようと走り出そうとした。
だが―――

ガラッ

不意にドアが開き、1人の人物が入って来た。
目の前に現れた人物に、5人全員の動きが止まる。皆藤だった。

「皆藤!!」

フリーズ状態からいち早く立ち直った木下が、真っ先に皆藤に駆け寄る。
木下のあまりの剣幕に、さすがの皆藤も、若干ポーカーフェイスを崩し驚いたようにわずかに身を引いた。
しかし構わず、木下は皆藤の両腕を掴む。

「頼む!助けてくれ!!」
「木下……?」
「柊が……!!」

その瞬間。
皆藤の脳裏を閃光のごとく何かが貫き、思わず身が強張った。

「野田たちが、石原を攫ってどっかに居んねん」

木下に遅れること数秒、駆け寄ってきた4人のうち、真鍋が吐いた言葉。
それは―――

『リュウを、俺たちが預かったんだよ』

甦る、2年前の9月の出来事。
あの日の光景が、目の前で再現されているようで……

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