FC2ブログ

「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
2幕-14:フラッシュバック

PERFECT BLUE 14-07

 ←PERFECT BLUE 14-06 →PERFECT BLUE 14-08
バイクを走らせること10分。着いたのは、廃墟と化した工場の倉庫。周りは草だらけで、ひと気は全くない。
エンジンが止まると、木下はズボンのポケットに入っているスマホのバイブに気付いた。早まる気持ちとバイクの振動とで、気づかなかったようだ。
バイクから皆藤と共に降りた木下は、スマホを取り出す。画面には、"諏訪"の文字。

「先生……?」

呟いて、木下は出た。

『木下?!お前ら今、何処に居るんだ?俺も行くから教えろ!』

耳に当てた瞬間、諏訪の大きな声が聞こえる。木下は、皆藤の方を見遣った。

「諏訪先生からだよ……」

そう言って、皆藤にスマホを渡す。そうでもしなければ、彼は信じないだろうと思ったのだ。
皆藤は"何で諏訪が?"という顔でそれを受け取り、耳に当てた。

『なあ、何処に居るんだよ?!木…』
「…先生か?」
『皆藤?皆藤か?お前、どこに居るんだよ』

いつもの必死な声で呼びかけてくる諏訪の声。
皆藤はやっと、これが真実なのだと理解した。あの4人が、諏訪に助けを求めに行ったのだと。
だからといって、この状況は変わらない。真実だとしたら、尚更……

「先生は来る必要ねぇよ。後で分かる」

それだけを告げると、皆藤は通話を切って木下に返した。しかしすぐに、着信を示してスマホが震える。

「皆藤…」
「絶対に出るな。呼ぶんじゃない」
「え……」
「他の連中を巻き込むな」

言い捨てて、皆藤はさっさと歩いて行く。木下は、慌てて追いかけた。

「でも…警察も動いてくれねぇのに」
「いいから付いて来い」

ピシャリと言い切られ、木下も、仕方なくスマホの電源を切った。今の皆藤は、何か考えがあるという顔。今の自分は彼に従うしかないと思ったのだ。皆藤の判断は、いつだって正確で鋭いのだから。

「先行け」

倉庫の入口のドアで立ち止まると、皆藤はひと言そう言った。

「え……?」
「アイツ助けるんだろ?だったら先行け」

良く分からない理由で命令され、それでも石原を救うという一心でここに来た木下は、彼に言われるがまま、中に入った。背後の皆藤が、付いて来ないことに気付きもせず……

皆藤は、黙って木下を見つめていた。
そして木下が奥へと入って行くのを見届けると、学ランの胸ポケットに手を入れて何かを探った。


「柊!!」

倉庫内で反響した声は、10mほど先にいる野田たちにハッキリと聞こえたらしく、いっせいに3人が振り返った。

「お前、なんで……」

何故この場所が分かったのか理解できず、野田の顔が一瞬にして顰められる。
そして……

「……!!」

3人の足元に転がっている人物に、木下は一瞬動きが止まった。
そこにいたのは、石原だった。

「柊っ!!」

叫びながら駆け寄る。
しかし、石原からの反応はないかった。そこにただグッタリと倒れているだけで……

「しゅ……」

さらに近づき呼びかけた木下は、はっきりと見えたその姿に、息を呑んだ。
小さく苦しそうに息をしている石原の顔は、真っ赤な血で汚れていた。それが頭から流れているものなのか、それとも額や口から流れているものなのかも判別できないほど。

「てめぇら……!!」

石原の姿に一気に平常心を失った木下は、野田に掴みかかろうと足を踏み出す。
しかし、

「やめろっ!!」

素早く、後ろから強い力で腕を引かれた。
それは、どう考えても怒鳴るという行為が想像出来ない人物から発せられた声で。

「皆藤……」

木下がその名を発するよりも早く、野田が発し、その顔がみるみる歪む。

「お前が、木下を連れて来たのか……」

呟く声は、微かに震えている。
皆藤がここに来ることなど、野田は全く想像していなかったのだ。誰も信じない皆藤が、木下の言葉を信じて、しかも一緒に来るなんて。

「皆藤、何で止めるんだよっ。コイツらが柊を……柊を、こんな目に…っ」

必死で皆藤の手を離そうとする木下だが、皆藤の力はそれを許さない。
そして、グイッと思いきり木下の腕を引き寄せる。

「いいか、木下。ここでお前が出ていったら、コイツがボコられた意味ねぇだろ」

既にいつもの冷静な口調に戻っている皆藤が、静かに諭す。
木下の力が、スッと抜けた。皆藤の言うことはとても正しかったのだ。

関連記事
スポンサーサイト



↓ランキングに参加しています。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL恋愛小説へ

総もくじ 3kaku_s_L.png SS
総もくじ 3kaku_s_L.png Turning point(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 悪魔たちの狂想曲(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 立ち入り禁止(誠×風)
総もくじ 3kaku_s_L.png Old flame(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 最愛2(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 最愛(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png COOL(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 女は災い(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png 交差点(実×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ 3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ 3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ 3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ 3kaku_s_L.png 【あとがき・雑記】
総もくじ  3kaku_s_L.png SS
総もくじ  3kaku_s_L.png Turning point(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 悪魔たちの狂想曲(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 立ち入り禁止(誠×風)
総もくじ  3kaku_s_L.png Old flame(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 最愛2(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 最愛(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png COOL(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 女は災い(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png 交差点(実×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋人たちのクリスマス(ミックス)
総もくじ  3kaku_s_L.png Hide-and-seek(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 直感(春×歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png Assist(春&歩)
総もくじ  3kaku_s_L.png 一時停止(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Engagement(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png アゲイン(陸×千)
総もくじ  3kaku_s_L.png Beyond Silence(W大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛プロセス(拓×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 満月の夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 痴話喧嘩(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 白い恋人(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png reward(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 君と見る空(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 極夜(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png シンクロニシティ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png Stranger(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png その先へ(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 優しい嘘(直×大)
総もくじ  3kaku_s_L.png 【あとがき・雑記】
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【PERFECT BLUE 14-06】へ
  • 【PERFECT BLUE 14-08】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【PERFECT BLUE 14-06】へ
  • 【PERFECT BLUE 14-08】へ