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「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
2幕-15:カウントダウン

PERFECT BLUE 15-02

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「そうか……そうだよな」

諏訪は、それしか言えなかった。
自分も、同じだと思ったから。
皆藤に気持ちを伝えられない自分。それは、彼を裏切っていることなのだろうか?そう思ったら、何も言えなかったのだ。
それからまた何とも言えない沈黙が流れたのだが、

「…ったく、聞いてらんねぇ」

ずっと黙っていた皆藤が不意に、溜め息混じりでそう呟く。そして、おもむろに立ち上がった。

「「皆藤…?」」

諏訪と木下は思わず同時に声を上げ、見上げる。
しかし皆藤は振り返ることなく、

「俺は帰る」

バイクに荷物置きっぱなしだし。そう言って、さっさと立ち去っていこうとする。
木下は思わず立ち上がった。
すると、気配を察した皆藤も、立ち止まって振り返った。

「甘えてんじゃねぇよ木下。担任の先生は万能じゃねぇんだ。何でもかんでも解決してくれると思うな。
それから、もし俺にも言ってたんだとしたら、俺の意見は"ドン引き"だ」
「……え…」
「あんだけボコボコにされてもお前を庇おうとしたアイツの勇気を前に、まだ自分が可愛くて怖気づいてるなんて。お前は大した"親友"だな」
「………」
「その程度の友情なら、いっそのこと友達やめちまえ。そしたら襲えるぞ」

そう言い捨てると、皆藤はまたくるりと踵を返して去っていく。
バイクのキーを振り回しながら、どんどんと小さくなっていく皆藤の姿。それを、木下も諏訪も呆然と見詰めていた。

「冷たいなぁ……」

諏訪が、フッと笑う。これが皆藤なりの木下への喝だと、分かっているから。
そしてそれは木下本人にも、何となく伝わっていて。

「翻訳すると、"弱気になるな"ってことかな……?」

諏訪にぎこちなく笑い、

「うん、そうだよな」

木下は、心を決めた。
皆藤の言う通り、石原に倣って、今度は自分が勇気を出す番なのだと。



「どうぞ」

皆藤が去って数分ほどしてから治療は終わり、石原が病室に移ったために木下と諏訪も入室を許された。
病室の前まで来ると、諏訪は立ち止まる。

「先生?」
「俺は、後から入る」
「え?」
「話が終わったら呼んで」

ニッコリ笑うと、諏訪は木下の背中を押した。木下が決心をしたこと、諏訪には分かったのだ。

「弱気になってんじゃないよ、王子」

叱るような口調で言うと、木下も笑顔で頷いた。

病室は1人部屋で、ベッドが1つだけポツンと存在していた。
白いベッドの上に、目を閉じた石原が横になっている。医師によれば、恐らくどこも異常はないだろうということだった。翌日きちんと検査をするが、打撲と切り傷だけだろうと。

「柊……」

ベッドの脇にある椅子に腰掛けて彼を呼ぶと、小さなその声にも石原はきちんと反応し、目を開いた。どうやら、眠っていたわけではなさそうだ。

「来人」

頼りない声と瞳だが、それでもしっかり木下を見て、呼びかけに答えてくれる。そこには、小さな笑みすら浮かべて。
木下は、その手をそっと握った。すると、すんなりと石原も握り返してくる。それだけで、胸が熱くなった。

「良かった……」
「え?」
「本当に、来人が居てくれたよ」

石原の意外な言葉に、思わず木下はポカンとしてしまった。そんな木下を笑う石原は、終始笑顔だ。

「意識が途切れる瞬間にさ、目が覚めたとき、来人が居てくれたら安心するだろうなって、思ってた……」
「………」
「良かった良かった」

ヘラッと、いつもの呑気な笑顔を向けてくる。それが、友人としての思いでなのか、それとも自分と同じ気持ちでなのか。木下には分からない。石原は、いつだってこういう言葉をサラリと吐く人間だから。

「柊…」

決心がくじける前にと、木下は覚悟を決めて彼の手を握る力を少し強めた。そして、空いている方の手で、傷に触らないように注意しながら彼の頭を優しく撫でる。

「あのな」
「ん?」
「お前に、言わなきゃいけないことがあるんだ。聞いてくれる?」
「もちろん。何?」

無邪気な瞳が、木下を見上げる。
この瞳を汚してしまうようなこの気持ちを、本当に石原に告げていいのだろうか―――そんな思いが再びこみあげ、一瞬言葉を呑み込んでしまう。
しかし、もう止めることは出来ない。このまま、親友というポジションで嘘をつき続けることは、きっと出来ない。彼に嘘なんて、つけない……

「俺、お前のこと、もう友達とは思えないんだよ」
「え……」

緊張のせいで言い方をミスってしまい、石原の瞳が一瞬にして曇る。
慌てて、木下はその次の言葉を続けた。

「いや、そうじゃなくて。俺、お前は一番の親友だって思ってる。それはもう、絶対。
ただ、その……それだけじゃないんだよ」
「……??」
「俺、お前が好きだ」
「……え?」
「それは、ナベとハマみたいな、そういう類のやつ」

言った瞬間、石原が息を止めるようにフリーズしたことが、繋いだ手から伝わった。
しかし木下は、決心が鈍る前にと言葉を止めることはしなかった。

「確信したのは最近だけど、たぶんもうけっこう前から、俺はお前をそういう目で見てたんだと思う。
でも、お前を失いたくなくて、お前に引かれたら立ち直れない気がして、言えなかった。お前の様子が最近おかしかったのも、気付かれたのかと勘違いして焦ってて、結果こんなことになった。
こんな気持ち言うつもりなかったけど、いつ気付かれるのかビクビクしながら友達やってるのももう無理だし、そのせいでお前の大事な変化に気付けないのは嫌だ。だからお前は、断ってくれてかまわない。俺が言わずにいられなくなっただけだから。
俺は柊が好きだ。柊のこと、どうしようもないくらい好きだ」

彼の瞳を見るのは怖かったが、逃げたらいけないと自分を戒め、木下は石原を見つめた。

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