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「★PERFECT BLUE:別シリーズ【連載中】」
2幕-16:賽は投げられた

PERFECT BLUE 16-01 ※微R-18

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【16:賽は投げられた】
*こちらは軽くはありますがR-18ページです。
*ご理解ある方のみお進み下さい。





【16:賽は投げられた】

[1]

「お疲れさまでした」

長かった研修会が終わり、やっとのことで町田は腰を上げた。
新宿で開かれていた、東京都内の私立高校養護教諭による研修会。午後からとはいえ延々とスライドを見せられたり、グループ毎に分かれて意見交換をしたりと、忙しかった。
周りに居た人たちと挨拶を交わし、町田は廊下に出た。時計は18時を回っている。
皆藤は帰って来ているだろうか、そう思ってスマホを出し電話を掛けてみるのだが……皆藤は出なかった。
メッセージでも送っておこうかとも思ったが、それほど遅くなるわけでもないので、町田はそのままスマホをしまって駐車場へ向かった。




諏訪はマンションに帰ると、皆藤を中に促して自分も中に入り、ドアを閉め、ガチャリと鍵を閉めた。
あの社会科準備室でのキスの後、諏訪は皆藤の手を引き、駐車場へと真っ直ぐ歩いた。皆藤も、無言でついて来た。ひたすら車を走らせて行き着いたのは、自分のマンションだった。

「皆藤……」

彼の腕を引いて振り返らせ、諏訪はその唇を奪う。
薄く開いた彼の唇の間を割って、舌を侵入させる。そうすれば、皆藤も同じように応えてくれた。自分を激しく求めてくる諏訪のキスを、皆藤がさらに引き寄せるかのように胸元を掴んでくる。それだけで諏訪はまた胸が熱くなって、角度を変えながら何度も彼の咥内を味わった。
5月の保健室での一件以来の、皆藤との深い口づけ。これまでと違うのは、諏訪が自らの意思で、明確な意図を持ってしているということ。
官能的な、甘いキス。甘い気がするのは、きっと毒の味かもしれない、と諏訪は頭の隅でそんなことを思う。自分を逃れられなくするための、毒なのではと……
皆藤の手が諏訪のコートにかかると同時に、諏訪も自らコートを脱ぎ捨てる。それから皆藤のコートに手をかけると、

「先生、どっちがいい?」

皆藤がコートを脱ぎ捨てながら、そっと首筋にキスをして訊ねてきた。
囁くような声。その度に首筋に感じる、彼の唇の感触と吐息。痺れたように諏訪が動けなくなっていると、その感覚が今度は耳元に移動してきた。

「俺を抱きたい?それとも、俺に抱かれたい?」

俺はどっちでもいいよ―――囁いて、顔を向き合わせてくる。

「そもそも男としたこと、あんの?」
「え?いや……」
「まあ、大して差はないけど。抱きたいなら女相手と同じにすりゃいいし、抱いてほしいならされるがままになってればいい」
「………」
「どっち?」

その瞳は、小さく笑んでいて。しかしキスで潤んだそれには、かすかな欲望の色が伺えた。
それはまるで、自分を吸い込んでいくようで―――

「そんなの、訊くなよ」

諏訪はそれだけ答えると、皆藤の手を引いて歩き出す。
皆藤もその言葉で理解をしたのか、特に何も答えることなく黙ってついて来た。
向かう先は、寝室だ。

ベッドに皆藤を寝かせ組み敷いた諏訪は、彼の学ランを脱がせ、シャツを脱がせ、インナーを脱がせながら、首筋、耳たぶ、鎖骨に舌を這わせる。
目の前に現れたその肌は、滑らかで輝いている。何の傷もない、綺麗な肌。眩暈がするほどに、美しい。そして、今だ彼の口元にうっすらと残る紫の痣すら、とても美しい。

「智司……」

キスの合間に名前を呼ぶと、皆藤は黙ったまま諏訪の服に手をかけてきた。そこで諏訪も自分がコートを脱いだだけだということに気付き、セーターもインナーも一気に脱いだ。そしてまたキスを再開すると、皆藤も無言で腕を諏訪の首に回してくる。

「……ん…っ」

皆藤の口から小さく漏れる、少し苦しそうな悩ましい吐息。
7ヶ月ぶりの濃厚なキスは記憶よりも刺激的で、溺れるには極上のものだった。
諏訪がさり気なく手を下へと下ろして、ズボンの上から皆藤の中心に触れれば、

「……ぁ」

やはり小さく漏れる声と、わずかに反らされた首元。その表情も声も何もかもが諏訪の体を熱くし、もっともっとと慌てたようなキスになる。余裕なんて欠片もない。
しかし、皆藤の心に自分の温もりを少しでも与えたいという気持ちだけは、本能がしっかりと諏訪に信号を送ってきていた。
優しく、彼を抱きしめる。

「好きだよ…智司」

ずっと言いたかった、言えなかった言葉。
今の彼には、言ってはいけなかったのかもしれない。しかし、それでも止められなかった。
誰かを愛しいと思う気持ちが、彼に届けばいいと思った。

「お前が好きでたまらないんだ……」

その言葉に対する答えは、何もなかった。




町田は、車を走らせていた。
助手席には、途中のコンビニで買った、2人分の弁当。さっきは皆藤はたまたま電話に出られなかっただけで家に帰っているのかもしれないし、もし映画やら写真やらで寄り道をしているのだとしても、1人で食事をしてくるような人間ではない。たとえ宇賀と会っていてダラダラと夜遅くなる日でも、だいたいが食事をしないで帰ってくる。

―――観たいDVDあるし、帰ってるといいけど…

呑気に考えて、町田は車を走らせ続けた。




「……は…ぁっ」
「……っ」

2人の熱い吐息が、暗い寝室で交じり合う。
諏訪には学生時代に同性の恋人を持つ友人が周囲にいたおかげで、それなりに知識はあった。とはいえ女とは違う体の造りの相手に全く戸惑わなかったといえば嘘になるが、皆藤に触れる度に熱くなる自分の体に導かれるように、諏訪は彼の体を開いていった。
後ろの窪みに指を挿れた瞬間に小さく口を開いて吐息を漏らした皆藤が愛しくて、諏訪はそこをゆっくりと、しかし奥深くへと侵入させていく。
暗がりに慣れて見えた皆藤の顔は、諏訪の理性を瞬く間に失わせていった。
皆藤は、声を押し殺すように、少し眉根を寄せて堪えている。熱を持ったせいか少しだけ赤味を帯びた頬が、潤んだ瞳が、普段は表情を変えない彼が見せる色気とはまた違ったそれを放出している。その全てに惚だされた諏訪には、逆らう術なんてなくて……

「もう…いい?」

訊ねた声に、皆藤が小さく頷いたような気がしたから。
彼の表情に誘われるがまま、諏訪は指を抜くと、その中へと静かに侵入していった。

「智司……声、もっと聞かせて」

小さく声を漏らすことはあるものの、時には唇を噛んで声を抑える皆藤に、諏訪は優しく呼びかける。
しかし皆藤は聞こえないフリをするように、自分の手に指を絡ませてしっかりと握ってくる諏訪の手にキスをした。どんな行為が相手の心をくすぐるか、分かっているかのようだ。声を出さない分、そんな行為や、そして荒い息が、諏訪をまた刺激した。
深く深く、沈める。皆藤の中へ…最奥へと。
抱かれ慣れているかのように、諏訪をすんなりと受け止めるその体。それが、諏訪の心に嫉妬心を沸き上がらせた。
だが、夜の街に生きていた皆藤の過去を気にしていたらきりがないし、真面目に生きてきた諏訪にだって、恵まれた外見のおかげで場数はそれなりにある。抱くか抱かれるか、その違いだ。だからそんな気持ちを消し去るためにも、諏訪は目の前の皆藤だけを見ることに集中した。
皆藤は、相変わらず声を押し殺しているし、諏訪の名前を呼ぶこともない。しかし、諏訪が突けばそれなりに身体は反応を示すことが、吐息に近い声であっても小さく漏らすことが、ナカが諏訪をギュッと締め付けてくることが、彼が感じていることをきちんと表していて。仰け反られた美しい喉元に噛み付きたくなる衝動に駆られる。

「好きだよ」

たとえ彼が、自分を快楽の相手として選んだだけだとしても。
しかし、やはり皆藤から答えは返ってこない。誤魔化すように、腕を諏訪の首に回してくる。
諏訪は、後は快感を求めるようにひたすら腰を揺すった。丁度皆藤の鎖骨の辺りに、自分の唇が触れる。銀のネックレスを際立たせる、綺麗な鎖骨のライン。そこに、ひとつだけ自分の痕を残した。
そして、声を我慢する彼の痛みを誤魔化してやるように、自分の気持ちが伝わるように、何度も何度も口づけた。そのたびに交じり合う2人の吐息は、諏訪にとってまるで媚薬のようで。諏訪の耳には、呼吸の音も、繋がる音も、もう何も聞こえなくなった。目の前の彼だけに意識は集中し、周りの雑音も、景色も、全てが諏訪の感覚から消えた。
ただ、"優しく"―――それだけは決して忘れずに、最後の最後まで、諏訪は皆藤を優しく抱いた。

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